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自分に勝て

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第二章

「俺は彼女に勝てる、しかも実はタイプだしな」
「だから告白するんだな」
「タイプだから」
「それでだな」
「タイプじゃないとな」
 それこそというのだ。
「告白しないだろ」
「それはそうだな」
「タイプじゃないとそれはな」
「告白しないな」
「それはな」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「俺はああしたきりっとした感じの娘がタイプだからな」
「告白してか」
「それでか」
「あの娘とか」
「交際するな、とにかくな」
 河原崎は強い声で言った。
「勝ってな」
「交際するか」
「そうするんだな」
「このことは」
「ああ、絶対にな」
 まさにと言ってだ、そうしてだった。
 河原崎は実際に夕実に告白した、すると夕実はこう返した。
「わかっているな」
「君と交際したいならだな」
「そうだ、私に勝ってだ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「交際だな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それが条件だ」
「わかっている、では今から勝負だ」
「覚悟はいいな」
 身構えてだ、夕実は河原崎に言った。
「私は相手が誰であろうが全力で挑む」
「いい考えだな」
「相手を侮るなぞ下劣の極み」
 だからだというのだ。
「その様なことはしない」
「そうか、だがな」
「だが。どうした」
「勉強で勝負をしたい」
「何?」
「そして芸術でもだ」
 こちらでもというのだ。
「勝負したい」
「いや、待て」
 夕実は河原崎の言葉に戸惑った返した。
「勉強と芸術か」
「その二つだ」
「私は勝負はだ」
「格闘か」
「それでと言ったのだ」
 こう言うのだった。
「あくまでな」
「勝負と言ったな」
 河原崎は戸惑う夕実に落ち着いた態度で問うた。
「そうだったな」
「それはそうだが」
「それならだ」
「勉強とか」
「芸術でだ」
 それでというのだ。
「勝負だ」
「武道やスポーツではないのか」
「勝負と言ったな」
 河原崎は夕実に鋭い目で問うた。
「そうだったな」
「しかし勉強とは」
「そして芸術だ」
「それで私と勝負するのか」
「勝負は受けるな」
 夕実に鋭い顔のまま問うた。 
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