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夢幻水滸伝

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第百八十三話 星の者達の成長その十

「そやったな」
「それで今は味方同士や」
「そうなってるな」
「世の中そんなもんかもな」
「昨日は敵同士でもな」
「今日は友達同士や」
「あちらの世界でも友達同士になる時が楽しみです」 
 タゴールは微笑んで言った。
「その時は飲みましょう」
「ああ、インドのお酒もやな」
「そうしましょう」
「ほなな、しかしインドのお酒ってな」
 中里は考える顔になって言った。
「あまりな」
「ご存知ないですか」
「ちょっとな」
「カリーのイメージが強いですか」
「カリー、カレーはお酒に合わんからな」
「それはありますね」
「そのせいでな」
 どうにもというのだ。
「インドのお酒ってな」
「ご存知ないですか」
「どうもな、けれどあるんやな」
「はい、昔から」
「そやな」
「ですから」
「仲間になった時にやな」
 中里はタゴールに言った。
「ご馳走してくれるんやな」
「期待して頂いて結構です」
「ほなな、しかし今の言葉は岡田監督の言葉やな」
「阪神の名将ですね」
「ああ、シリーズは残念やったけどな」
 二〇〇五年のことだ、ペナントはまさに無敵の中継ぎ抑え陣通称JFKという彼等を中心とした戦力で勝ったがシリーズでは無残な敗北だった。
「それでもな」
「名将ですね」
「ああ、ほんまそう思うわ」
「少なくとも優勝しましたし」
「通産勝率も高いしな」
「そうですから」
 だからだというのだ。
「名将であることは事実ですね」
「シリーズと最後のシーズンは残念やったけどな」
「そうでしたね」
「最後のシーズンは独走しとったのに」
 まさに無敵であった、途中までは。
「けどな」
「夏からでしたね」
「阪神の常やけどな」
「地獄のロードですね」
「高校野球はじまると本拠地使えん様になるからな」
 阪神限定のハンデだ、それで遠征ばかり出て疲労が蓄積されていくのだ。
「そやからな」
「それで、ですね」
「疲れが溜まってな」
 中里もこのことを言う。
「負けが込んでな」
「それで、でしたね」
「よりによって巨人に負けまくって」
「巨人に優勝を逃しましたね」
「あの時の終盤の恰好悪さはなかったわ」
 巨人には次々に負け優勝を奪われた、しかもクライマックスでも負けたのだからこれ以上無様なことはない。
「ほんまあの時はな」
「残念でしたね」
「巨人やったからな、相手」
「全世界共通の敵ですからね、巨人は」
「全人類普遍の敵や」
 それが巨人なのだ、このチームが行ってきた邪悪極まる行いは決して忘れてはいけない。巨人こそは戦後日本を蝕んだ悪徳の象徴なのだ。 
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