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戦国異伝供書

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第百十八話 水色から橙へその九

「わしはな」
「では」
「お主が島津家の主となり」
 義久に話した。
「そしてじゃ」
「家を動かしてですな」
「ことを進めよ」
「そうさせて頂きます」
「そしてお主達はじゃ」
 義弘と歳久、家久にも話した。
「又三郎を助けてじゃ」
「そうしてですな」
「己の全ての力を使い」
「そうして動くのですな」
「そうするのじゃ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「その様にしていきます」
「兄上の下で」
「島津家の者として戦いまする」
「お主達が一つであれば」
 それならというのだ。
「敵はおらぬ、おってもな」
「織田家位ですな」
 歳久がこの家の名前を出した。
「天下人となられた」
「あの家は流石にじゃ」
「あまりにも大きいので」
「戦にならぬ」 
 例え戦になってもというのだ。
「敵の数が多過ぎてな」
「それではですな」
「とてもじゃ」
 それこそというのだ。
「戦えぬ、しかしな」
「他の家はですな」
「戦えてな」
「勝てますな」
「うむ」 
 こう歳久に答えた。
「それが出来る」
「今当家の兵の数は少ないです」
 義弘はこのことを言ってきた。
「そして薩摩戸大隅を一つにし日向もそうしても」
「それでもであるな」
「大友家、龍造寺家と比べますと」
「兵の数はかなり落ちるな」
「はい」
 そうだというのだ。
「どうしても」
「そうじゃな、しかしな」
「それでもですか」
「お主達四人がおればな」
「それでもですか」
「九州のどの家にも勝てる」
 義弘にも語った。
「間違いなくな」
「そうなのですか」
「お主達はそれぞれ麒麟児じゃ」
「千年に一度出るという」
「それが四人一度にじゃ」
 まさにというのだ。
「当家それもわしの息子に出た、ならば四人が一つになれば」
「尚更ですな」
「強い」
「これ以上はないまでに」
「そうじゃ、四人が一つになれば」
 その時はというのだ。
「強い、三人あればな」
「文殊の知恵といいますな」
 家久も言ってきた。
「そこまでのものだと」
「そうじゃ、そしてな」
「それがですな」
「四人ともなればな」
「しかも麒麟児であるなら」
「これだけ強いものはない」
 家久にも語った。 
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