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てんかんの犬

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第二章

「普通の生活は送れて」
「そして発作が出てもです」
「落ち着いて周りが対処すればですね」
「問題ありません」
「そうですね」
「てんかんが怖いのではなく」
「てんかんへの偏見がですね」
 未来はこのこともわかっていた、自分の周りにてんかんの人はいなかったがそれでも知識として備えていてわかっていた。
「怖いですね」
「持病その人の個性で」
「それで、ですね」
「落ち着いてこれまで通りです」
「接していけばいいですね」
「実際にこれまで何の問題もなかったですね」
「落ち着いて優しいいい子です」
 未来は獣医にムン太のその性格も話した。
「こんないい子いないです」
「ならこれかでもです」
「一緒にですね」
「暮らして下さい、駄目なのは」
「偏見ですね」
「間違ってもてんかんだからといって捨てる様な」
 そうしたというのだ。
「酷いことはされないで下さい」
「病気だから捨てる人はいますね」
「そんな酷い飼い主もいますが」
「私達はそんな人達にはなりたくないです」
「そう思われるなら」
 それならというのだ。
「是非です」
「わかりました」
 未来は獣医の言葉に確かな声で頷いた、そしてだった。
 発作から元に戻ったムン太を連れて家に帰って自動車の修理工場で働いている夫が家に戻るとだった。
 ムン太のてんかんのことを話した、すると彼は真剣な顔で妻に言った。
「俺の高校の時にいたんだ」
「てんかんの人が」
「後輩でな、時々発作を起こしても」
 それでもというのだ。
「本当にふだんは何もないから」
「問題なかったのね」
「性格も運動も頭もな」
 その全てがというのだ。
「時々そうなるだけで」
「何もないのね」
「持病だよ」
 それに過ぎないというのだ。
「本当にそれだけだよ、持病なんてよくあるだろ」
「そうよね」
「それでどうかなんてな」 
 それこそというのだ。
「駄目だよ、若してんかんだからムン太を邪険にしたり捨てるなら」
「それならね」
「最初から飼ったら駄目だ」
「そうよね」
「病気なのがわかった位でな」
「本当にね」
「だからな」
 夫は妻に強い声で言った。
「これからも」
「ムン太とね」
「一緒にいような」
「そうしましょう」
「ああ、ムン太は家族だからな」
 それ故にと言ってだった。
 夫婦はムン太と一緒に暮らしていった、二人の間に男の子が出来たがその子とも一緒に家族でいた。そしてだった。 
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