おぢばにおかえり
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第六十一話 食べてもらってその二十七
「酷いわね」
「だからですよ」
「阿波野君も嫌いなのね」
「そうです、もう二度と」
「会いたくないのね」
「本当に」
実際にというのでした。
「死んでくれてもいいって言ったら」
「駄目よ」
そこでこう言いました。
「何があっても」
「そうですよね」
「というか確かにあんまりな人だけれど」
本当におみちの人だったのかと思う位です。
「お話を聞く限りね」
「それでもですか」
「死んで欲しいとか言うことは」
「絶対に駄目ですか」
「というか本当に阿波野君って嫌いな人は徹底的に嫌うのね」
このことが今ようやくはっきりと認識出来ました、今日まではそんなに意識しなかったことですが。
「長池先輩にもだし」
「嫌いな対象は全部そうですね」
「人だけじゃないのね」
「巨人も嫌いですし」
「野球の?」
「はい、この世で一番嫌いです」
そこまでだというのです。
「巨人が負けたらすっきりします」
「またそう言うし」
「とにかく嫌いな対象は全部こうなりますね」
「徹底的に嫌うのね」
「もうそれが止まらないんです」
嫌いな感情、これがというのです。
「僕は」
「そうなのね、そこまでいくと本当に阿波野君自身によくないわ」
「人を嫌い過ぎるとですね」
「何か全肯定か全否定しかない感じね」
悪い意味ではっきりしています。
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