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SHOCKER 世界を征服したら

作者:日本男児
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新世界の『日常』

 
前書き
リ・イマジでヒトデヒットラーとネオショッカー大首領が見たいと思う今日この頃。前者は無理だろうな〜。何十年か先でもいいから自分が生きてる内に劇場版に出して欲しい。Vシネならできるかな〜。

 

 
1978年 ショッカー直轄州 日本エリア 東京


ウラル山脈以東の地域……旧ソ連東部、中近東、東アジア、東南アジアはショッカーの直轄地となっていた。
その中でも日本は大首領様のおわす聖地と定められ、東京は世界首都として整備されていた。

首相官邸を始めとした旧日本国の国家・政治施設は接収され、ショッカーの新たな中央政府機関へと改築されていた。テロで荒廃した都市が美しいきらびやかなものに再構築されたのだ。


しかし、美しく発展した街並みとは裏腹に街中の至る所では隠すように設置された顔認識機能を備えた何百もの監視カメラや集音マイクが人民の言動を監視していた。その情報により政府は人民個人の情報を公共の場での会話からプライベートでの一挙一動まで、その全てを手に取る様に把握している。

さらに世界征服をしたことによる膨大な人民の管理を効率的に行うため、人民一人一人に番号を割り振って整理する、『コード制』を実施。これは大ショッカー党の幹部、ビックマシンが提唱したものである。

これにより行政における膨大な戸籍の管理に成功し、大幅なコストカットにも成功していた。さらに前述の顔認証機能付き監視カメラやGPSなどを併用することで前科者の現在地を特定し、事前に犯罪を予防することもできるなど治安維持の面でも効果を発揮していた。無論、前科者にはショッカーがテロリストと見做しているアンチショッカー同盟の構成員が含まれているので芋づる式の逮捕に期待が寄せられている。


政府はこのコード制を含む監視行為について『戸籍管理を簡略化し、犯罪やテロから安心安全な社会を守る為』と人民に説明、さらに『人民とは人的資源、つまりショッカーの導く世界にとって何人たりとも欠くことのできない構成品である』とした。
この説明を聞き、人々が自分達が政府…ひいては偉大なる大首領様に護られていると再認識し、ショッカーをさらに支持するようになったのは自然の流れだった。そして自らの幸福や安全・安心、利便性を求めて「監視」を受け入れたのだ。その根底にはショッカーに対する支持や忠誠の他に、征服直前に起きた世界規模のテロに対する恐怖があったのは言うまでもない。

さらに、この監視システムにおいて優良なショッカー人民と判断された者には公共交通機関での割引や大企業への就職が有利になるなどの社会的な特典が与えられるため、皆、勤勉なショッカー人民になるべく励んでいた。






東京駅の駅前では数千人規模の聴衆が押し寄せていた。彼らの前には、「大ショッカー党」のロゴマークを付けた、上部に演説台を載せたトラックが1台停まっている。
月に1度、国威発揚ならぬ世界威発揚のために、大ショッカー党は世界各地のあらゆる場所でほぼ同時に演説を行っていた。
演説台に青年が立つ。青年は黒い背広に身を包み、右腕には大ショッカー党の象徴ともいえる地球儀を掴む鷲が描かれた腕章をしていた。
青年は紳士的に微笑みを浮かべ、両手をメガホンの形にして大声で聴衆に問いかけた。


「皆さーん!今、幸せですかー?」


「「「はーい!!」」」


聴衆…ではなく、サクラとして潜入している私服姿の戦闘員数名が手を上げて答えた。すると彼らにつられて一般の民衆が「はい!」と手を挙げた。民衆達は演説が始まる前のこの時点で、次第に盛り上がっていく場の雰囲気に飲まれていた。
さり気なくそれを確認した青年は演説を続けた。


「そうでしょう、そうでしょう。ショッカーの崇高なる理想郷(ユートピア)の前では不幸になる者などいるはずがありませんからね。……オホン、えー、では本題に入りましょうか」


青年は咳払いをすると本題に入る。
気づけば青年の口調は先程までの物腰柔らかそうな敬語から偉そうな平語に変わっていた。顔も強張り、目に力がこもる。


「諸君が知っての通り、ショッカーの理想とする世界は『優秀な人間』を改造し、人々を導くことだ!
では『優秀な人間』とは何だろうか?それは知力・身体能力に長け、常人よりも多くの物や新たな価値を創造する者のことだ!
偉大なる大首領様は利権に塗れた旧世界とは違う!彼らを公正に評価し、より強固な肉体へと昇華させてくださるのだ!!」


拍手喝采。中には歓声を上げている者もいた。


「反対に忌避すべき『愚鈍な人間』というものがいる。彼らは怠惰で、自ら堕落し、常に『優秀な人間』を妬んでいる。諸君の周りにもいないか?自分の不遇を人のせいにする者が。そういう者こそこの『愚鈍な人間』なのだ」


すると青年は天を仰ぎ見、哀しそうな顔をしてみせた。


「かつて……いわゆる旧世界には『愚鈍な人間』が大勢いた。しかし、それは諸君が悪いわけではない。それらは全て旧世界の権力者、そして奴等を未だに信奉するアンチショッカー同盟の仕業なのだ!」


ここから演説はヒートアップする。
演説の中で世界(ショッカー)の敵を明確に示した青年は次第に早口になり、内容も対象への同情心を削ぐような口汚いものへと変わった。


「害虫同然の旧世界の権力者共は諸君らを愚民化しようとしていた。自身の保身と既得利権を守る為に!!かくして優秀な人間の足を引っ張るルールばかりが作られ、諸君らは気づかないうちにただの家畜と化してしまったのだ!その片棒を担いでいたのがアンチショッカー同盟のゴミ虫連中なのである!」


このパートで、民衆の心の中で旧世界勢力(敵)とショッカー(味方)の違いをさらに事細かに際立たせることに成功した。ここで青年はオーバーな身振り手振りを加える。


「しかし大首領様に救われ、旧世界の本質に気づいた我々はもはやただの家畜ではなくなった!賢くなったのだ!進歩したのだ!」


―そうか。自分は進歩したのか。
もう、かつての家畜だった自分とは違うのだ。この新世界を構成する立派な一員なのだ。―
人々は奇妙な優越感に浸っていた。
それには何の根拠も無いが、親愛なる大ショッカー党の"お墨付き"を貰ったことで事実なのだと確信していた。


「そして今、この新世界において貴方達、民衆には2つの選択肢がある!『過去の腐った世界に戻そうとする一文字隼人率いる残虐なテロ集団に屈する』か、『ショッカーの改造人間達の指導の元で奴等を打倒してこの美しい世界を守る』かという究極の選択肢だ!」 


「テロには屈しないぞ!!」
「前の世界に戻るのは嫌だー!!」


自然と、聴衆の中から合いの手を入れる者まで現れた。
青年はすかさず合いの手を入れた聴衆を指差す。


「その通り!やはり君らは賢い!ここで奴等のテロリズムを阻止せねば、暴力主義がかつての腐った民主主義という病のように世界に広がり、一文字隼人や滝和也らがその教祖として君臨することになってしまう!!」


青年は満面の笑みで両手を広げると高らかに叫んだ。


「敵に臆するのはやめよう!
傷を舐め合うのはやめよう!
旧世界の価値観を根本から見直そう!
そして力強く、戦う勇気を持った、規律ある『ショッカー的人民』に生まれ変わろう!ショッカーと共に新世界を建設し、幸福と繁栄を享受しよう!その果てに明るい未来があるのだ!」


「うぉぉぉぉーーーー!!!」
「いいぞぉぉぉぉーーー!!!」
「ヒューヒュー!!!」


その場が先程とは比べ物にならない程の拍手と歓声に包まれる。中には互いに抱き合う者まで出ていた。

まさに狂喜乱舞。
聴衆達の間に謎の一体感が生まれていた。それを一瞥した青年は一瞬、ニヤリと笑うと途端に静かな口調になった。
演説は最終段階に入った。


「民衆の諸君……いや、親愛なる気高きショッカー人民諸君。私益より公益を優先せよ。そしてショッカーに選ばれた改造人間となり、共に新世界を歩もう」


すると青年は直立不動の姿勢を取ると両サイドの警備の軍人達と共に勢いよく右手を上げた。


「イーーーーーーッ!!!」


その独特な掛け声につられて民衆も興奮した様子で一斉に右手を上げた。


「「「イーーーーーーッ!!!」」」




数時間後、夜になっても街は明々と輝っている。大通りから少し離れたところにある飲み屋では仕事帰りのサラリーマンや労働者が集まり、大きな声でガヤガヤと話している。
その内容に注目すると殆どがショッカーを賛美するものだった。


「にしてもよ、今日の演説もいい内容だったよな」
「アンチショッカー同盟の奴らのテロのせいで俺の会社は潰れてな。露頭に迷ってたところを救ってもらったんだ。職業斡旋までしてくれてよ、本当にショッカー様々だよ」
「大首領様は御心が広い!適正のある人間は出自に関係なく優良企業や高級官僚に登用してくださるんだからな!」


話している人々の中には日本語が覚束ない、エキゾチックな褐色の肌をした者も混じっていた。ひと目で外国人……もとい別のエリアの出身だと分かる。


「そのトーリデス。東南アジアエリアから来たワタシでもジツリョク認められて、ここニホンエリアの会社でハタラクがデキタネ。地元のワタシの家ビンボー。でもショッカーのおかげでテレビがカエマシタ」


1970年代、テレビは日本やアメリカなどの先進国を除いて……つまり東南アジアやアフリカなどの発展途上国では高級品であり、庶民にとっては高嶺の花だった。そこでショッカーは征服後、安価で単純な構造のテレビを開発して、全世界に行き渡らせたのである。
当然、これには裏があった。ショッカーが政治宣伝の道具としてテレビを利用するためである。ちょうど、1930年代のドイツでナチスが低価格のラジオを普及させることで政府のプロパガンダを聞くように仕向けたのと全く同じだった。


「そうか……お前も大変だったんだな」


日本エリア出身の男が東南アジアエリア出身の男の肩を優しく叩く。


「お、"あれ"が始まる時間だ。誰かテレビのチャンネルを変えてくれ」


するとちょうど放送されていたスポーツ番組が別のチャンネルに切り替わった。
酒場の人間達の視線がテレビに集まる。これからこの世界の人気番組が始まろうとしていた。
番組のタイトルは『旧世界断罪裁判』。そして右隅には小さく『ネオショッカー州より生中継』と書かれていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
厳かなファンファーレと共に裁判所の法廷が映し出される。
裁判長席に座っているのはネオショッカー大幹部であり、イングランドエリアの行政長官である魔人提督だ。
魔神提督は被告人の顔をジロリと睨みつけると陪審員達に向けて尋ねた。


「この男に対する判決は出たかの?」


白い三角頭巾を被った男達、この裁判における陪審員達が次々と思い思いの刑を述べていく。とはいえ、この裁判自体が旧世界の人間を"始末"する為の出来レースなので判決は1つしかないようなものだった。


「死刑!!」
「死刑!!」
「死刑!!」
「死刑!!」


魔神提督は予定通りの流れを聞くと、芝居がかったように口角を上げた。


「よし、判決は………死刑!!!」


「…嫌…嫌だ…死にたくない」


判決を聞いた被告人は恐怖の余り、膝から崩れ落ちた。
この番組は征服前の世界……いわゆる旧世界の権力者や著名人の汚職や悪行を追及する裁判の模様を生中継するという内容である。
人権侵害極まりないが、裁かれる被告人は何れも旧世界で民衆を騙し、権力の椅子にふんぞり返っていた悪人とされているためこの番組は人気を博し、人民達はショッカーの偉大さ・公平さに感謝しながら見ていた。

今回の裁判は旧日本政府の元検察庁高官に対して行われていた。彼は征服前、自身の息子の数々の犯罪行為を裏で揉み消していた。しかし征服後、その悪行が暴かれ、ショッカー警察によって拘束されたのだ。
彼には本来の罪に加えて、小さいものでは『窃盗罪』から大袈裟なものでは『世界の秩序を破壊しようとした罪』(略 『世界秩序破壊罪』)と、ありとあらゆる罪で起訴されていた。明らかにショッカーが後からでっち上げたものもあるが、それを人民が知る(すべ)はない。


「刑は即日、行われることになっている。シビレイジンによる電気椅子じゃ。
よかったな、すぐに息子に会えるぞ……地獄でな」


「そんな、嫌だァァ!お慈悲を!お慈悲をぉぉぉ!!」


2人組のアリコマンドに両脇を拘束された男はジタバタ暴れるがすぐに裁判所の隣にある処刑室に運ばれた。
……これだけを見ると旧世界の権力者達の自業自得のように感じるが、実際にはこの裁判では旧世界の有力者のみならず、ただ単に反ショッカー的であると判断されただけの人間も裁かれていた。


次に裁判場に連れてこられたのは若い女性だった。
魔神提督は検察官席に座る役人から読み上げられる短い告訴状の内容に耳を傾ける。


「被告人は1978年2月某日、GOD州にて白昼堂々、『世界の秩序を破壊しようとした罪』を犯しました。これは大変な重罪であります」


「うむ。では、陪審員。判決はどうする?」


「死刑!!!」
「死刑!!!」
「死刑!!!」
「死刑!!!」


「よし、判決は………死刑!!!」


魔人提督が死刑を宣告すると女は取り乱し始めた。


「何で!?私は何もしていない。世界の秩序を破壊しようとしたって言ってもただ街中で政府を批判するビラを配っただけでしょ?それだけなのに何で、死ななきゃいけないの!!大体さっきから何なのよ!?弁護人はどこ?こんなのリンチ裁判よ!」


臆面もなくしゃべり続ける女に対して魔人提督は怒り、裁判席から立ち上がると剣を抜いて言い放つ。


「黙れ、女!さあ、アリコマンド共よ。こやつを処刑場へ連れてゆけ」


「離せ!離しなさい!この独裁者の犬!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
テレビで裁判の模様を見ていた酔っ払い達は処刑室へ連行されていく女を半ば呆れた目で見ていた。


「はぁ、あんな奴らがまだいたのか」
「自業自得だな」
「にしてもスカッとするよな、この番組。今まで甘い汁吸ってた奴らが天誅に合うんだからな」


そう言うと彼らは酒を飲む手を早め、いつしか会話の内容も他愛もないものに変わった。
酔っ払い達の夜は続いた。





旧世界の勢力……いわゆる不穏分子は"新世界"から一掃されつつあった。

不穏分子達が苛烈な弾圧を受ける中、体制側であるショッカーの役人や重要人物は何をしてもお咎め無しなのかというとそうではない。
当然、政府の高級役人や大ショッカー党員、大企業の重役にもショッカーの追及の手は伸びる。脱税などの汚職に手を染めようものなら『反ショッカー行為罪』で逮捕されることになる。また、余りに悪質な場合はショッカー警察上層部がGOD秘密警察にバトンを渡し、秘密裏に対象者を殺害している。


事実、世界征服からこの4年間で数百万人もの人民が行方不明または不審死を遂げていた。そして実に、その4割が許容レベルを超えた不正や汚職に手を染めた政府高官や大ショッカー党員であった。GOD秘密警察が熱心に働いているのは言うまでもない。
…では残りの6割の人民はどこにいったのか?と言う話になるがこれに関しては全くもって謎だった。人身売買組織による拉致やただの放浪などにしては多すぎる数字にショッカー警察やGOD秘密警察でさえ、頭を抱えていた。

まるで神隠しのように忽然と姿を消すのである。
ただ、そんな行方不明者の最後の目撃場所は決まって試着室や水面などの"鏡のような対象の全身が映り込む場所"であり、中には『鏡の中に人間が引きずりこまれるのを見た』と言う極めて不可解な目撃情報もあった。このため、ショッカー警察はアンチショッカー同盟による拉致或いは強制勧誘の線で捜査を開始していた。


……それがアンチショッカー同盟によるものではなく、より凶悪な存在によるものだと判明するのはまだしばらく先のことである。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、教育においては……。


世界中の学校はショッカースクールと名を変えさせられ、存続していた。
ショッカーは教育改革を行い、6歳以上の子供達のショッカースクールへの就学を義務化した。このショッカースクールでは人種・宗教・民族に関係なく、無料で教育を受けられることから民衆から高い支持を得ていた。

それまでは国ごとに学校の数がばらつきがあった。また豪州やアフリカなどの人種差別の強い地域では白人は白人の学校、黒人は黒人と、それぞれ違う学校に通うのが主流だったため、わざわざ遠方の学校に通わなくてはならなかった子供も多かったが世界征服後には様々な民族や人種が同じ学校、同じクラスに通うこととなった。さらに個々の理解度に合わせて飛び級も認められていた。


だがショッカーの教育改革はいい面ばかりではなく、就学の義務化も人種や宗教の壁を取り払ったのも、未来を担う子供達の思想の統一化を図って行われたものであり、子供達はショッカースクールで幼い頃からショッカーの主観による世界観が叩き込まれることになった。


道徳では「ショッカー的な人民になることの大切さ」、国語では「ショッカー的な文学」、歴史の授業においては「旧世界は如何に人民を虐げていたのか」、「大首領様はどのようにしてバラバラだった世界を1つにまとめ上げたのか」、「大幹部達の偉大な半生」に重点が置かれている。


さらに体育の授業では球技や体操の他に『集団行動における自身の役割と責任を自覚させる』という名目で簡単な行軍演習や実弾射撃なども行われていた。
これにはさすがに保護者から難所を示されたが『テロの脅威から自らを守るため』と教師が説明すると渋々、納得した様子を見せた。




GOD州 アメリカエリア ニューヨーク ショッカースクール


北米大陸はGOD機関が統治するGOD州が設置されていた。
ニューヨークにショッカースクールのクラスでは木製の椅子と机が並び、そこに40人ほどの子供達が座って、教師達から伝えられる『正しい』世界のあり方を学んでいた。
若い女性の教師が黒板にチョークで『平等・平和・自由』と書いていく。


「この3つは昔、みんなのお父さんやお母さん達を騙していた悪い奴らがよく言っていた言葉です。でも偉大なる大首領様のおかげでこれらの言葉が本当は無意味だったことに気づくことができ、ようやく世界はまともになろうとしています」


教師は一息置くと続ける。


「世界の為に!ショッカーの為に!大首領様の為に!勉強して精一杯働きましょう!そうすればもっと楽しく、もっと幸せに暮らすことができるのです!
さぁ、こんな素晴らしい世界を作ってくださった大首領様に感謝を込めて敬礼しましょう」


教師に続くようにして子供達が立ち上がる。教師は右手を高く掲げると奇声を上げた。
 

「イーーッ!!」


「「「イーーッ!!」」」


勢いよくショッカー式敬礼をした子供達は純粋で真っ直ぐな笑みを浮かべていた。そしてそこには彼らが敬愛する偉大なる大首領様に対する忠誠心が現れていた。






ショッカーに管理されながらも世界は形を変えて確実に前進していた。 
 

 
後書き
まるっきりディストピアですね。
ですが、民衆からすればこのショッカーが支配する世界は旧世界以上に幸せを享受できるユートピアです。だがら余計、質が悪い。
ショッカーの統治政策は母体となったナチスドイツや昭和ライダーに出てきた各組織の所業をベースにあらゆる独裁国家の制度をミックスして書きました。
(例:大衆心理を利用した演説と世界首都構想と安価なテレビの普及と教育改革…ナチスドイツ
顔認識機能付監視カメラ…『10月計画』及びコード制と中共の社会信用システム
公開リンチ裁判…スカイライダーのネオショッカー裁判とソ連の人民裁判 etc)

改めて見直すとライダーというより、ナチス色を強くし過ぎてますね。まぁショッカー自体、ナチス残党が多い組織ですし、ナチス結成に大首領が関与していた設定があるくらいですからある意味、自然っちゃ自然ですが。

〜〜次回予告〜〜 
世界中からテロ組織の烙印を押されたアンチショッカー同盟。ショッカーと戦うことに意味はあるのか?
正義とは何なのか?悪とは何なのか?
この世界の仮面ライダーの存在意義が問われる。
次回、『父よ、母よ、妹よ』にご期待ください。 
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