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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十八話 クリスマスのはじまりその八

「急激に変わっていって」
「四十年代はかなり豊かになっていましたね」
「ですが学生運動の様な愚かなこともありました」
「それで畑中さんとしてはですね」
「三十年代の方がいいと思いますが」
「そうですか」
「五十年代は安定していました」
 そうだったというのだ。
「それまでと比べますと」
「あの時はですね」
「五十年代はいい時代でした」
「そうでしたか」
「そして六十年代から平成に入り」
「バブルもありましたね」
「あの時は狂騒でした」
 そうした時代だったというのだ。
「そしてバブルが終わって」
「それからでしたか」
「金婚式となり。子供達が大きくなって」
 その五十年の間にだ。
「それぞれ結婚して孫も出来て」
「そうしてですか」
「曾孫も出来た時に」
 まさにその時にというのだ。
「金婚式を迎えました」
「それであの曲を聴いてですね」
「思い出しました」
「五十年のことを」
「悪い思い出もありましたが」
「それでもですね」
「それより遥かにです」
 悪いことよりもというのだ。
「いい思い出が多く」
「それで、ですか」
「あの曲を聴いて思い出せたので」
「今夜もですか」
「聴きたいです」
 奥さんと一緒にというのだ。
「そうしたいです」
「そうですか」
「結婚した時五十年も一緒にいられるとは」
 そこまでというのだ。
「思いませんでしたが」
「それでもですか」
「いられました、ですから義和様も」
「あの曲の本当のよさがわかるにはですね」
「結婚されて」
 そしてというのだ。
「五十年の間です」
「一緒にいればいいですね」
「その間確かに色々なことがありますが」
「その色々なことがですね」
「いい思い出になるので」
「その曲を聴いて思い出せますか」
「悪い思い出も五十年になりますと」
 金婚式を迎えればというのだ。
「もうです」
「いいものになりますか」
「悪い思い出もあったとお話させて頂きましたが」
「五十年を振り返る中で」
「いいものに変わります」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「是非です」
「五十年ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「その中で育てていったものがあるので」
「それを思い出すので」
「あれだけいいものはないです」
「そうですか」
「ですから」
「僕もですね」
「五十年です」
 それだけの歳月をというのだ。
「奥様になられる方と過ごして下さい」
「そうすればですね」
「あの曲の真価がわかります」
「長いですね」
 五十年、半世紀はだ。 
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