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戦国異伝供書

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第百十六話 摺上原の合戦その十二

「降すかじゃ」
「いつもの様にですな」
「その家臣達に誘いをかけ」
「こちらに入れて切り崩し」
「そうしてあらためて従う様に言いますな」
「そうする、今は兎に角会津を完全に手中に収める」
 こう言ってだった、政宗は黒川城に戦をすることなく入るとすぐに会津全体を手中に収めにかかった。そしてだった。
 義広が佐竹家に去った芦名家は最早戦う者はおらず国人達は戦をすることなくむしろ自分達から政宗の前に来てだった。
 頭を垂れた、それを見てだった。
 政宗は笑みを浮かべ彼等が去った後で家臣達に言った。
「これでじゃ」
「会津の地もですな」
 留守が言ってきた。
「芦名家の領地も全て」
「当家のものになった」
 政宗はその留守に話した。
「完全にな」
「当家の目的は達しましたな」
「うむ、それでじゃ」
「これよりですな」
「一旦米沢に戻ってな」
 そうしてというのだ。
「今度は領地全体の政にかかるぞ」
「わかり申した」
「殿が元服されて数年」
 片倉は感慨を込めて言った。
「それで、ですな」
「米沢から白河の関までをな」
「全て手に入れましたな」
「そうなったな」
「はい、奥羽の一番豊かな場所は抑えました」
 そこはというのだ。
「無事に」
「ではな」
「後はですな」
「奥羽の北となる」
「左様ですな」
「津軽までな」
「進みますな」
「そして奥羽の全てをな」 
 まさにというのだ。
「手中に収めるぞ」
「今の領地全体の政を整えたなら」
「それからな、当家は百万国を超えた」
 そこまでの勢力になったというのだ。
「まさに奥羽随一となった」
「このことは大きいです」
「政をする間にも奥羽の国人ひいては守護にも人を送り」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「当家に降しますな」
「そうする、そして鉄砲もな」
 この武器もというのだ。
「さらに造るぞ」
「はい、鉄砲もです」
 今度は成実が言ってきた。
「これまでよりですな」
「さらに造ってな」
「増やしていきますな」
「千丁、そしてさらにな」
「二千とですな」
「どんどん造ってな」
 そうしてというのだ。
「多く持つぞ」
「そして戦いますな」
「そうする」
 こう言うのだった。
「戦になればな」
「それでは」
「奥羽の全てを手に入れると二百万石は優にある」
 それだけの力を備えている様になっているというのだ。
「ならばな」
「北条家にもですな」
「戦える、これからも一気に進めるぞ」
「それでは」
「そしてじゃ」
 今度はだった、政宗は家臣達に笑ってこうも言った。 
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