戦国異伝供書
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第百十六話 摺上原の合戦その八
芦名家の主義広は退くなと命じた、だがもう崩れた軍勢はどうしようもなく。
芦名家の軍勢は算を乱して逃げ出しら、政宗は馬上でそれを見て言った。
「ではな」
「これよりですな」
「敵の軍勢を追ってじゃ」
「さらに攻めますな」
「そうする」
こう言うのだった。
「これよりな」
「そうしますか」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「敵を徹底的に叩くぞ」
「そうしてですな」
「芦名家の力を奪う」
「黒川城もですな」
「攻め取る、よいな」
「それでは」
「攻めるぞ」
こう片倉に言ってだった。
政宗は徹底で気に攻めさせた、それを見て義広も遂にだった。
周りにいた家臣達に言われて戦場を離脱した、政宗はそれを見て義広を捕らえられれば芦名家を完全にここで降せると見て。
彼を捕らえた者には褒美は思いのままと言った、だが。
義広を守る様にして三人の猛者達が見た、その彼等を見て政宗は言った。
「あの者達は何者じゃ」
「芦名家きっての武勇の者達である金上殿と佐瀬親子です」
茂庭が答えた。
「あれは」
「そうか、芦名家きっての強者達か」
「あの者達の強さは折り紙付きです」
茂庭は政宗に真剣な顔で述べた。
「ですから」
「そう簡単にはじゃな」
「討ち取れませぬ」
「しかしあの者達を倒さずにな」
「芦名殿は捕らえられませぬか」
「捕えて家臣に出来るか捕虜に出来ればな」
それでというのだ。
「もうじゃ」
「芦名家はですな」
「我等のものとなる、しかし」
「あの三人を倒さねばです」
「芦名殿は捕えられませぬな」
「そうかと」
「ではまずはあの者達をどうにかする」
政宗は断を下した。
「ここでな」
「それでは」
「あの者達を討ち取るのじゃ」
今度はこう指示を出した。
「よいな」
「さすれば」
成実が応えた、潰走する芦名家の軍勢の殿軍を務める彼等を見つつ。
「それがしが率いる者達からです」
「猛者を出すか」
「そうします」
「鉄砲騎馬隊は命知らずばかり」
政宗がそうした者達を入れているのだ、伊達家に仕える者達の家の次男や三男のそうした者達をである。
「ならばな」
「はい、あの者達にですな」
「戦わせよ、しかしな」
「死んでもですな」
「命知らずの中でもじゃ」
それこそというのだ。
「命知らずに行かせよ、腕の立つな」
「無駄死にはですな」
「することはない、だからな」
それでというのだ。
「そうした者達を行かせよ」
「わかりました」
成実も頷いた、そうしてだった。
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