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おっちょこちょいのかよちゃん

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99 暴れ出す敵達

 
前書き
《前回》
 赤軍はレバノンへ本拠地を移した後、護符を見つけ出す為の行動に入る。そしてに各地へ戦争主義の世界の人間が送り込まれ、暴動を引き起こす。合唱コンクールの練習を続けていたかよ子にとっては恐ろしく感じていたのだった!! 

 
 房子はレバノンの新本部にて会議する。
「まだ護符の場所が解っていないのね」
「はい、東京の多摩地区にはなく、今首都圏を周って探させています」
 丸岡が答えた。
「首都圏に見込みがなかったら違う地区を狙うのよ」
「はい」
「ついでに私は東京に行ってくるわ」
「何をしにですか?」
「そこに拘置されている晴生と東アジア反日武装戦線の者達を救い出すのよ」

 練習が終わり、かよ子達は下校した。
「かよちゃん、今日も歌、上手かったねえ〜」
「ま、まるちゃん、ありがとう・・・。でも、問題は本番でおっちょこちょいしないようにしないと」
「それもそうだよね」
「そうだ、まるちゃん・・・」
 かよ子はまる子が異世界の「力の石」の一つ、炎の石を持っている為に聞くことにした。
「この前、東京の多摩って所で異世界の敵が暴れたって」
「そうなの?」
「そうなのって・・・。私、朝、テレビで見たんだよ」
「ごめん、ごめん、アタシゃニュース見ないからさあ・・・」
 かよ子は何も言えなかった。

 夜にもニュースで新たな報道が入った。異世界の敵が神奈川、埼玉、千葉にも現れたというのだ。
「きっと護符を探して暴れまわってるんだね・・・」
「ええ、名古屋のさりちゃんが無事だといいんだけど・・・」
 山田親子は不安でしかなかった。

 夜中の東京都内の拘置所。房子はその場にいた。
「ここに晴生達がいるのね」
 房子は異世界の剣を振りかざす。その拘置所の門を破壊する。
「行くわよ。アドルフ」
「了解」
 アドルフとはかつて異世界の杯を狙おうとした異世界の人間である。夏に日高敏彦と共に東京の地へ訪れたのだが、その場に現れた高校生の男子によって日高諸共コテンパンにされてしまった。房子は拘置所の出入り口を破壊する。
「な、何だ!?」
 どうやら派手な破壊行為だった為、看守を起こしてしまったようだ。
「安心したまえ。ホロコースト!」
 看守達は一瞬で死んだ。
「晴生!どこにいるの?」
 房子は部下を探す。そして見つけた。和光晴生は寝ていた。
「晴生!私よ」
「そ、総長!」
「ここの看守は皆やっつけたわ。東アジア反日武装戦線の皆は?」
「近くの別独房です」
「分かったわ」
 房子は剣を振るう。そして独房の鉄格子を破壊し、東アジア反日武装戦線のメンバーを救出した。
「今のうちよ」
「はい!」
 房子はアドルフ、和光、そして東アジア反日武装戦線の構成員達を連れてその拘置所を去った。

 かよ子は寒くなってきた為、朝起きるのが辛くなって来た。その為、起きるのが遅くなってしまった。
「急がないと!!」
 いつものおっちょこちょいをしながらもかよ子は走って登校した。
「もう、おっちょこちょいなんだから・・・」
 母は娘が去った後、ぼやいた。

 まき子は昼間のニュースを見ていた。
『昨夜、東京都内の拘置所が破壊され、身柄拘束中の日本赤軍のメンバー・和光晴生と東アジア反日武装戦線のメンバー全員が脱走いたしました。脱走した犯人達は今の所行方が分からない状況です』
「え!?」
 都内の拘置所にいる東アジア反日武装戦線のメンバーと赤軍の一人は確か隣の家の奈美子の娘の一人・ありとその夫の手によって逮捕に追い込んだものではないか。彼女らの決死の行為が無駄なものにされるとはまき子にとっては身体全体が怒りで震えるものであった。
 
 この日、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県で異世界の敵が出現し、暴れた。

 放課後の合唱の練習、この日もかよ子はおっちょこちょいをせずに独唱部分をこなした。そして全体的に形はかなり良くなっていると丸尾は思った。
「それでは、五時になりましたね。ズバリ、本日はここまででしょう!」
 3年4組の皆は下校する。
「只今」
 かよ子は帰宅した。
「かよ子、大変よ!」
「ど、どうしたの!?」
「この前東京で逮捕された赤軍の一人とテロ集団が脱走したの!」
「ええ!?りえちゃん達が捕まえたっていう・・・!!」
「きっと別の赤軍のメンバーが助けに行ったのよ!」
「大変な事になるね・・・」
 かよ子は杯の所有者がまた心配になるのだった。だが、今夜はニュースはそれだけでは留まらなかった。異世界の敵が群馬、栃木、茨城、山梨の4県にて出没したとテレビで報道された。
「また異世界の敵が出たのか」
「怖いね・・・」
(私の杖は盗られない様にしないと・・・)
 かよ子も杖の所有者として気を付けなければならないと改めて感じるのであった。

 房子ら赤軍の護符捜索は続く。
「首都圏になければ北海道、東北、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄、余す事なく探しつづけるのよ!」
 そして異世界の敵は続けて召喚された。

 三河口は首都圏が次々と異世界の人間に襲撃されるニュースを見て恐怖に駆られた。
(せっかくありちゃんやりえちゃん達の協力で捕まえた連中が脱走するなんて、こんな事があっていいのか・・・。そんなにこの国を戦争への道に導きたいのか・・・!!)
 そして三河口は予期した。もしかしたら護符の在処を聞きにこの地にも出没するのではないかと。

 すみ子達が通う学校でも、関東の各々の地区が異世界の侵略に脅かされたと生徒達が恐怖に包まれており、すみ子や山口、川村、ヤス太郎達もまた落ち着く事ができなかった。
(もしかしたら、また、清水にも来るのかな・・・)
 すみ子は不安に思う。そして、隣町の学校にいる杖の所有者の事も心配になった。なお、すみ子達の学校ではクリスマスの日に学芸会を行う予定であり、すみ子達のクラスは劇を行う予定であり、白雪姫の演劇を行うのであった。
(劇中に襲ってこないといいんだけど・・・)
 すみ子はそう願った。

 そんな恐怖が続く中でも、合唱コンクールの練習は続いた。
「今は、もう、動かない、そのとーけーい~♪」
 かよ子も、笹山も、大野も、各々の独唱部分は完璧に近くなっていた。かよ子は毎度のおっちょこちょいをしなくてよかったと思うのであった。

 すみ子達は劇の練習を終えて帰るところだった。その時、急に胸の鼓動が激しくなった。吐き気がするくらいに。
(来てる・・・!!奴等が近くに・・・!!)
 すみ子は山口、川村、ヤス太郎を呼ぶ。
「山口君、川村君、ヤス太郎・・・!!」
「どうした、すみ子?」
「吐き気がするくらい、心臓が激しくなってるの・・・。また、敵が来たわ・・・!!」
「何だって!?」

 三河口は奏子と共に下校していた。
「寒くなって来たね」
「うん」
「私、スカートが寒くて辛いわ」
「確かに、ストッキングとか指定してくれてもいいんじゃないかって俺も思うな」
「三河口君って女子に優しいわね」
「いやあ・・・」
 三河口は照れた、と同時に急に体が震え出した。寒さによるものとは全く異なる震えだった。
(これは、まさか・・・!!)
「三河口君、寒いの?震えてるわよ」
「いや、これは、寒さによる震えじゃない・・・。これは・・・」
 同時に三河口は胸騒ぎを覚える。
「間違いない・・・!!異世界の敵か赤軍が近くに来ている!!」
「え!?」
「そいつらを探して抑えないととんでもない事になるぞ!奏子ちゃん、エレーヌから貰った羽衣を持ってるか?」
「うん、いつもお守りとして大事に持ち歩いているわよ」
 奏子は鞄から文化祭の終わりの時にエレーヌという異世界の人間から貰った羽衣を取り出した。
「よし、その羽衣を使って濃藤と北勢田を連れて来てくれ!そして怪しい奴等も見つけてくれるか?」
「自信ないけど、やってみるわ!」
「ありがとう!俺も奴を探すと共に隣の家の子の安否を確認するよ!」
「分かったわ!」
 奏子は羽衣を首にかけた。その時、羽衣の能力(ちから)によって彼女は浮遊し、天女の如く空へと向かった。
「さて、かよちゃんの通学路を探るか」
 残った高校生男子はかよ子の通学路を沿って急ごうとした。相手は赤軍か、それとも、戦争を正義とする世界の人間か・・・。

 かよ子は練習を終えて、まる子にたまえ、そしてとし子と下校していた。
「かよちゃん、今日も歌、上手かったね」
「う、うん、練習のお陰かな」
「でも、風邪ひかないように気を付けてね」
「じゃあねー」
 かよ子は友達と別れる。そして自分の家へと向かう。
「あの、ちょっと君」
「え?」
 かよ子は振り返ると、古代の日本の役人のような格好の人物がいた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「近づいてきた男」
 奏子は濃藤、北勢田を見つけ、三河口は見聞の能力(ちから)を頼りに敵を捜す。そんな時、かよ子に近づいた男は異世界の敵が暴れている話をし、かよ子はその男は怪しくないと思い、護符や自分の持っている杖の話をするのだが・・・。 
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