夢幻水滸伝
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第百八十話 プールサイドの対面その十一
「若し幕府が残っていたら今もでごわした」
「払っていましたか」
「一括払いも証文ば焼いていたので」
そのうえで一年に二万両ずつ払うとしたのだ。
「いけました」
「そうですか、本当に非道ですね」
「というか外道ですね」
ピエトリは冠山に呆れていた。
「それは」
「そう言うでごわすか」
「もうそこまでかと」
「まあそう言われてもでごわす」
「否定されないですか」
「実際かなりでごわすからな」
だからだというのだ。
「おいどんも」
「そうですか」
「た理由はどうであれ」
例え財政が常に苦しくてもというのだ。
「ましてや藩主の浪費の清算の踏み倒しはでござわす」
「そうですね」
「おいどんも否定しないでごわす」
「全部ロシアやと普通やったけどな」
マリーナはここでこう言った。
「重税も搾取も踏み倒しも」
「普通だっただ」
このことはドフトエフスキーも言った、堂々たる体格で一九〇はある。岩石の様な顔立ちであるがアイスブルーの目の光は優しい、くすんだ金髪は短くしていて赤のトランクスタイプの水着だ。
「それは」
「ロマノフ朝もそうだっただし」
ゴーゴリも言う、面長で茶色い目でありいささかアジア系が感じられる顔だ。背は一七八位で引き締まった体格である。髪の毛は白く後ろで束ねてそのうえでまとめている。水着は緑のトランクスタイプだ。
「別に薩摩藩はおかしくないだ」
「むしろロシアはもっと凄いだ」
こう言ったのはツルゲーネフだ、一七六位の背で顎の先がやや尖っていて黒い目で黒髪を上だけ伸ばしている。体格は引き締まっていて肌は白い。水着は青のトランクスタイプだ。
「もう全部取ることもあっただ」
「スターリンは凄かっただ」
チェーホフはこのヒトラーと並ぶ独裁者の名前を出した、一七七位の背でやはり体格は引き締まっている。面長の顔にある灰色の目は小さく茶色の髪の毛をスポーツ刈りにしている。水着は黒のトランクスタイプだ。
「もう全部取っていっただ」
「それで人民は皆餓えていただ」
ゴンチャロフも言う、背は一七〇位であるが猫背である為実際の背よりも低く見える。しかし身体は筋肉質である。赤い髪の毛は縮れていて小さい目の光は濃い緑だ。水着は黄色のトランクスタイプである。
「そこに粛清もあっただ」
「粛清はなかったでごわす」
北原はそれはなかったと述べた。
「薩摩藩では」
「民は無事だったな」
「確かに重税でごわしたが」
こうドフトエフスキーに話した。
「それでもでごわした」
「それならずっとましだ」
「粛清がなかだけ」
「しかもロシアの搾取はもっと凄かっただ」
薩摩藩のそれよりもというのだ。
「八割どころか下手したら全部だっただ」
「ロシア革命の頃でごわすな」
「そうだっただ」
「というかロシアは凄過ぎるのよ」
アレンカールはこう述べた。
「むしろね」
「そうなのです?」
「いや、スターリンは凄過ぎるわよ」
アレンカールはターリャに返した。
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