戦国異伝供書
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第百十四話 人取橋の戦いその八
「勝鬨をあげるぞ」
「わかり申した、それでは」
「では今より飯にする」
夜になろうというその中で告げた。
「よいな」
「はい、そしてですな」
「兵達に告げよ、飯を食ったらな」
それからはというのだ。
「順番で寝てじゃ」
「そしてですな」
「休むのじゃ、よいな」
「その様に伝えます」
小次郎も頷いた、そうしてだった。
伊達家の軍勢はその場で守りを固めたうえで飯を食い休みつつ夜に入った。その中においてもだった。
政宗は忍の者達に敵を探らせた、すると。
「そうか、佐竹家が下がってか」
「はい、それを見てです」
「芦名家も退き」
「他の家もです」
「夜の民に紛れで退いています」
「そうしています」
「もうここにいるのはです」
戦場にというのだ。
「我等だけです」
「我等だけが残っています」
「他の者は皆退きはじめ」
「高倉城の囲みも解いています」
「やはりな、今日凌いだからな」
それでとだ、政宗はここまで聞いて述べた。
「もうじゃ」
「戦は終わりましたか」
成実が言ってきた。
「そうなりましたか」
「うむ、敵は大軍を出したが」
それでもというのだ。
「何かとな」
「限界があったのですな」
「佐竹家は今日な」
「出来る限りですな」
「当家を破るつもりであったが」
「若し明日もとなると」
「後ろがまずくなる」
即ち南の方がというのだ。
「北条家が動くからな」
「だからですな」
「今日だけであったが」94
「その今日をですな」
「我等は凌いだ」
「それで、ですな」
「もうこれ以上はとなって」
それでというのだ。
「退いてな」
「そしてですな」
「他の家もじゃ」
その彼等もというのだ。
「主力が退いてはな」
「もう戦えぬので」
「それでじゃ」
「退きましたな」
「そうなった、この戦い多くの者が倒れたが」
伊達家の者達もだ。
「それでもじゃ」
「凌いだので」
「我等の勝ちじゃ」
そうなったというのだ。
「これでな」
「では翌朝は」
「敵がいなくなったのを確かめてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「勝鬨をあげますか」
「そうする、よいな」
「勝ってすぐではないですが」
「それでもじゃ」
まさにというのだ。
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