雑種が何だ
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第一章
雑種が何だ
木村彩菜は茶色の長い髪の毛を後ろで束ねている、背は一六七ありすらりとしたスタイルで目が大きくて奇麗である、今は大学生だが大学でも中学以来の陸上部で選手をしていてすっきりとした顔立ちである。
ずっと地元にいて飼い犬のマロン、柴犬に似た雑種の雄で茶色と白の毛の彼との散歩も楽しんでいる。その中で。
近所に大きな家が建つのを見た、家で母にその話をするとこう言われた。
「あそこに鈴木剛典さんが引っ越すらしいのよ」
「ああ、プロ野球選手の」
彩菜はその名前を聞いてすぐに言った。
「二年連続首位打者の」
「そう、あの人がね」
「あの人地元のチームだから」
「それで結婚もしたでしょ」
「この前ね」
「だからみたいよ」
それでとだ、母は自分によく似た外見の娘に話した。外見はよく似ているが名前は違う。母の名前は亜紀という。
「年俸も一億円いったし」
「遂にね」
「だからこの近所にね」
「大きなお家を建てて」
「そこに住むらしいよ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「これからはね」
「よくお会いもするのね」
「そうなるわよ」
「そうなのね、まあ私あの人のチームのファンじゃないから」
「東北の方のチームよね」
「ずっとこの横浜にいるけれどね」
それでもというのだ。
「もうメジャー行ったけれど」
「あの人が好きで」
「それでだから」
「鈴木さんのチームは応援してないわね」
「嫌いじゃないけれどね」
「そうね、けれどね」
「鈴木さんがご近所に引っ越してくるのね」
母にこう言った。
「わかったわ」
「ええ、そういうことでね」
母も笑顔で頷いた、そして実際にだった。
そのプロ野球選手が大きな家豪邸と言っていい場所に入ってきた。そしてそこから外車に乗って背の高い男の人が出入りする様になり。
そしてだった、さらに。
髪の毛を金色に染めて派手なメイクをしていつもジーンズとラフな上着の女の人もいた、その人はというと。
「あの人が奥さんよ」
「そうなのね」
「何でも鈴木さんとは高校生の頃からお付き合いしていて」
母は彩菜に話した。
「元ね」
「あの外見だと」
「わかるでしょ」
「そうした人だったみたいよ」
「そうなのね」
「けれど外見だけだから」
母は娘に笑って話した。
「別にね」
「悪い人じゃないの」
「そうみたいよ、鈴木さんのお料理とか健康管理はずっとね」
「結婚する前からなの」
「しっかりしているらしいから」
「そうなのね」
「出来た人みたいよ」
所謂元ヤンで外見は派手だがというのだ。
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