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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十五話 詩織さんの決断その二

「本当にね」
「そうしたこともあるってことだね」
 僕はこれも運命なのかと思いつつ言った。
「そうだね」
「そうね、それでね」
「正直に言うよ」
 詩織さんを見据えて話した。
「正岡君は凄いよ」
「ええ、あのお話聞いてね」
 詩織さんも僕を見据えて言ってきた。
「私も凄いって思って」
「じゃあ」
「好きになったわ」
「そうなんだ」
「あれだけ立派な人なんてね」
「いないよね」
「そうそうね、だから」
 それでというのだ。
「私もね」
「好きになったんだ」
「義和には悪いけれど」
「悪くないよ」
 正直寂しい気持ちはあった、けれどだ。
 それでもそれ以上に詩織さんの決断を尊重したかった、それで僕は詩織さんと正面から向かい合ってそうして話した。
「詩織さんが決めたことだから」
「それでなの」
「僕は何も言わないよ」
「そうなのね」
「彼なら絶対に素晴らしいものを見せてくれるから」
「素晴らしい恋愛が出来るのね」
「絶対にね」
 このことを確信して言えた。
「だからね」
「私の選択もなの」
「占い通りにね」
 まさにだ。
「誰もが幸せになる」
「その選択なのね」
「ああした人は本当に滅多にいないから」
 まるで太平洋の様に大きな心だ、きっと将来は大人物になる。
「だからね」
「それでよね」
「詩織さんだって」
「あの人と一緒だったら」
「幸せになれるから」
 このことは保証出来た。
「いい選択だったよ」
「じゃあ」
「今から行くんだよね」
「ええ」
「うん、じゃあね」
「まさかね」
 詩織さんは僕にこうも言った。
「八条荘の他の人達みたいに」
「相手の人が目の前に出て」
「こうなっていくなんてね」
「思わなかったよね」
「ええ、不思議よね」
「そうだね、けれど人と人の縁程ね」
 天理教でもよく言われることだ、というか天理教においては人と人の縁神様のお引き寄せこそが最も不思議なものとされているし僕もそうだと思う。
 それでだ、詩織さんにもこう話した。
「不思議なものはないからね」
「私もなのね」
「確かに不思議でも」
 それでもだ。
「特別かっていうと」
「そうでもないのね」
「うん、誰にもあることだから」
 こうした不思議なお引き寄せはだ。
「特別じゃないんだ、だからね」
「不思議でも特別と思わないで」
「それでね」
 そのうえでだ。 
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