八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十四話 決断その十四
「もうね」
「相手の娘が出来るんだ」
「相手の方からぜよ」
女子の方からというのだ。
「来てのう」
「入学してすぐにだね」
「彼女が出来るんじゃ」
「それが商業科だね」
「あと農業科もじゃ」
こちらもというのだ。
「女の子の方から来てじゃ」
「彼女が出来るんだ」
「そうなるぜよ、そして彼氏が出来んかった娘は」
正岡君は今度は女子の方の話をした、一方だけでなくもう一方の方も話すところに公平さを見たと思った。
「他の学科にじゃ」
「行くんだね」
「男子の多い工業科に」
それにというのだ。
「水産科にぜよ」
「行くんだね」
「そうぜよ、看護科も」
こちらもというのだ。
「同じぜよ」
「彼氏ゲットになって」
「出来んかったらぜよ」
「他の学科に行くんだね」
「合コンとかしてのう」
「そういうことだね」
「まあおまんも知っちょるのう」
僕に笑って聞いてきた。
「こうした話は」
「一応ね」
こう正岡君に返した、実際僕もこうした話は聞いている。
「けれど実際にはね」
「ここまで聞いたんはか」
「はじめてだったよ」
「そうなんじゃな」
「うん、生々しいね」
正直こう思った。
「実にね」
「そしてわしはじゃ」
「そこでなんだ」
「彼女が出来んかったんじゃ」
僕に笑って話してきた。
「クラスの男で一人だけのう」
「そうだったんだね」
「何か憑き合いにくい感じがしたそうじゃ」
「そうなんだ」
「何でも高知弁で」
その言葉でというのだ。
「そしてじゃ」
「それでなんだ」
「何か性格が物凄いオオモンか物凄いアホウに見えて」
それでというのだ。
「付き合いにくいとじゃ」
「思われてなんだ」
「それでぜよ」
「そうだったんだね」
「俗に商業科で彼女おらんとな」
その場合はというと。
「相当やばい奴と言われてるそうじゃ」
「彼女がいないだけで」
「そうぜよ、そしてわしはじゃ」
明るく笑って話した。
「まさにぜよ」
「そのやばい人なんだ」
「傑作じゃのう」
「自分でそう言うのはね」
「ははは、わしはアホウじゃ」
「自分で言うんだ」
「やばい奴と言うぜよ」
自分でというのだ。
「こうしてな」
「器大きいね、その器にね」
僕は正岡君のその言葉を聞いてわかった、この人がどうして彼女が出来なかったのか。自分で言うそのことを。
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