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歪んだ世界の中で

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第一話 底のない絶望その二

第一話 底のない絶望その二

「申し訳ないですが」
「いや、一緒のクラスじゃないからさ」
 知らなくて当然だと答える希望だった。このことはだ。
「そう。じゃあ特には」
「僕からは慎重にいくべきとしか言えないです」
「もっと様子を見てだね」
「見極めてから告白されてもいいと思いますよ」
 これが彼の見立てだった。
「それからでも」
「そうだね。決断は今はね」
「急がなくていいと思います」
 またこう希望に言う真人だった。そしてだ。
 彼はだ。前を見てだ。そして希望に言ったのである。
「ただです」
「ただって?」
「僕は遠井君の友達で」
「うん、それでなんだ」
「遠井君とは幼稚園からずっと一緒ですし」
 それでだというのだ。
「それは変わりませんから」
「有り難う」
 真人のことは知っている。だからこそ余計にだ。
 希望は嬉しく思いだ。彼に言ったのである。
「僕もね」
「ずっとですね」
「友井君のことが好きだから」
 これが彼への言葉だった。
「ずっとね」
「はい、ずっとですね」
「僕達は友達だよね」
「何があっても」
「そうだね。例え何があっても」
 これまで一緒にいてお互いに嫌な思いはしたことがない。喧嘩さえしたことがない。いつもお互いに支え合い共にいる、そうした二人だった。
 だからだ。希望もだ。真人に言うのだった。
「僕、友井君がいてくれるから」
「それで、ですか」
「生きていられるのかもね」
「それは言い過ぎですよ」
「こんな外見でスポーツも駄目で勉強もできなくて」
 自分のことをだ。ここで言っていく。
「よくいじめられたけれど。昔から」
 だが一緒に真人がいてくれて。それでだったのだ。
「だから僕はやっていけたし」
「それは僕もですよ」
「友井君も?」
「父親が。離婚して家を出て」
 彼の家庭環境をだ。希望に話すのだった。希望は既に知っているがそれでもだ。
「それで僕も色々と」
「あったね」
「はい、いじめられもしました」
 真人もだ。そういうことがあったのだ。
 それでだ。彼は言ったのである。
「ですがそれでも遠井君は」
「だって。先に友井君が僕を庇ってくれたから」
「だからですか」
「うん、それでね」
 真人を庇ったというのだ。そうしたというのだ。
 それでだ。希望はまた彼に話したのだ。
「友井君は僕の友達じゃない」
「有り難うございます。ではこういうことですね」
「こういうこととは?」
「情けは人の為ならずですね」
 真人は微笑みだ。こう希望に言ったのだった。 
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