おっちょこちょいのかよちゃん
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88 能力複製の機械
前書き
《前回》
姉妹喧嘩を繰り返すまる子に呆れた石松はまる子の姉に目を付ける。一方、赤軍の長・重信房子は戦争を正義とする世界の主にある事を報告し、次なる作戦を練る。石松はまる子の姉・さくらさきこにこれからの戦いに参加して欲しいと願い七つの宝玉を渡すのであった!!
さくらももこの姉・さくらさきこは石松から貰った異世界の宝玉を妹に見られないように気をつけた。
(あの子、こういうのに限って敏感になるから気をつけなきゃ・・・)
さきこは帰るとまる子は部屋を散らかして漫画を読んでいた。
(まる子がいると駄目ね・・・)
姉はノートのみを包み紙から出して名前を書いてランドセルに入れた。そして宿題をするふりをしていた。
「ごはんよ」
「はあ~い」
妹はすぐに出て行く。そして今だと思い、その宝玉を机の中にしまった。
パレスチナの赤軍本部。房子は本部に直結した加工場に行く。そこには山田義昭がいた。この加工場は精密機械メーカーに勤めたことのある山田の為に日本を征服する為の武器を製造・量産する為に建設したものである。
「義昭、機械の調子はどうかしら?」
「ああ、いい調子ですよ。作るのには手間かかってますが、もう3個ほどはできましたよ」
「それにしても修や敏彦を吹っ飛ばして純を気絶させたって事はその男子高校生はそれ程不思議な能力があるって事ね?」
「はい、ですが、聞いた話ではそういう似たような能力を持つ者は他にも何名かいて、平和を良しとする世界の人間が我々に対抗する武器を授けてるとか」
「そのようね。修や純三も実際に立ち会ってるわ。でも、異世界の四つの最強の道具である剣の複製は無理だけど、修はその男子生徒は強すぎる能力だって行ってたからこの機械があれば私達自身もサイボーグみたいに強力な人間になれるわね。ちょっと試していいかしら?」
「ええ、そいつを身体のどこかに着けるか、持っておくかで効果があります。鞄とかの中に入れて鞄を持っておいても効果は出ますよ」
房子は義昭が製造したボイスレコーダーのような機械を試しに使用した。
「その赤いボタンを押せば能力が発動できます」
房子は義昭が言ったように赤いボタンを押した。房子は地面を叩いた。その時、地が割れた。まるで彼女が空手をやったかのように。
「そしてその能力を使わない場合は緑のボタンを押して解除する事ができます」
房子は緑のボタンを押して義昭に返した。
「それにしてもこれが私達日本赤軍全員分あればもう無敵ね」
「はい」
そして房子は次の手を定める。
(杖の所持者以外にも、清水には何人もの手強い敵がいるのか。でも、純三が見たという護符の所持者の話は純も義昭も何も言っていなかった。同じ清水にあるというのにどこにあるのか・・・)
房子は気になる。杯は東京に、杖は静岡・清水にある。護符も清水にあったはずなのに所持者は今、どこにいるのか・・・。
(ならば・・・。日本全土をしらみつぶしてでもさがすか・・・。あの時のように・・・)
かよ子は学校でまる子にたまえと会話していた。
「隣のお兄ちゃんね、学校の修学旅行行ってるんだって」
「修学旅行~、いいなあ、ウチは夏休みさえどこにも旅行に行けないから羨ましいよお~」
まる子は羨ましがった。
「で、場所はどこなの?」
たまえが質問する。
「広島だって」
「へえ、広島か・・・。ちょっと遠いね」
「うん、どれだけ遠いんだろう・・・」
かよ子は長山の所に行って聞いてみる。
「長山君、広島ってここからどれだけ遠いかな?」
「ああ、そうだね、ここからだと新幹線で岡山まで言ってそこからまた電車で2時間ほどかかるね」
「凄い遠いね」
「うん、来年新幹線が博多まで開通する予定だからそれならもう少し移動が楽になると思うよ」
「そうだ、長山君の近所のお兄さんも今修学旅行で広島行ってるよね?」
「うん、そうだよ。でも、あそこは確か異世界の剣が日本赤軍に奪われたところなんだ・・・」
「あ、そうだったね・・・。そんなところにお兄ちゃん達が行くんだ・・・」
かよ子は今、奪われた剣がどうなっているのか。異世界の敵や日本赤軍に悪用されているのか。それはかよ子にはまだ分からなかった。
三河口達は修学旅行の地・広島に行く道中だった。新幹線に乗車中、三河口は列車が途中駅の名古屋に到着した時にふと思った。
(名古屋か・・・)
三河口は従姉の一人を思い出した。その時、隣の席に座っている濃藤が呼ぶ。
「なあ、ミカワ。この名古屋にお前の従姉が住んでんだよな」
「ああ、そうだよ。今、どうしてるかな・・・」
三河口は途中下車してでも、と思ったがそういう訳にもいかなかった。列車は名古屋駅を発車した。そして岐阜羽島、米原、京都、新大阪と駅を過ぎる。東海道新幹線としての区間はそこまでで新大阪から西は山陽新幹線となる。そして新神戸駅に到着した。
「ここが神戸か・・・」
「神戸がどうかしたか?」
濃藤が再び尋ねた。
「ああ、ここにも俺の従姉の一人が住んでるんだ。名古屋に住んでる方の姉にあたるよ」
「お前、兄貴とは駄目だけど、従姉とは仲いいんだな」
「確かにそうだな・・・」
「それにしても広島は遠いな。岡山着いたらまた特急列車に乗り換えか。せめて京都か奈良か大阪でもよかったんじゃないか。原爆の事を学ぶって目的があるとはいえ」
「まあ、遠い分、楽しんでやろうじゃないか」
そして三河口も濃藤も己の身体に異変がないか確認する。例のあれと言った胸騒ぎは起きなかった。
房子は義昭が製造した機械を試す。気迫だけで周囲にある岩が砕けた。
「これをあの人達に持たせれば・・・」
房子は異世界の最強の道具の残り三つを必ず手に入れると誓った。日本を変える為に・・・。
三河口達はようやく広島に到着した。その時は夕方になっており、生徒達はくたびれたというような感じだった。宿泊所の旅館にバスで移動して皆は寛いだ。
かよ子は広島の事が気になった。
(三河口のお兄ちゃん、広島でなにも起こらなければいいな・・・)
かよ子は隣人の高校生男子の無事を祈った。
後書き
次回は・・・
「広島の女子高生」
石松は杉山の姉に出会い、「戦い」への協力を求める事にする。一方、広島へ修学旅行に行っている三河口達は地元の高校の生徒達との交流会の際、自分達と同じ能力を宿す女子と対面することになる・・・。
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