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夢幻水滸伝

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第百六十七話 正攻法その三

「戦うわよ」
「敵は間もなく来るな」
「六時ね」
 今度は鋭い目で述べた。
「その時にね」
「戦闘に入るな」
「ええ」
 その通りだというのだ。
「そうなるわ」
「ええ、だからね」
「もう武装して隊列もな」
「かなり整ってるわね」
「それでやな」
「隊列を整えたらそのままよ」
 そこからというのだ。
「あんたにも話すわね」
「パンを食うな」
「ええ、慌ただしい朝食になるけれど」
「食っとかんとな」
「どうにもならないから」
 それでというのだ。
「ここはね」
「食うな」
「そうするわよ」
「ほなな」
「あたいも食べるしね」
「ほなな、それやったらな」
 ケツアルコアトルは自分に話すアレンカールに言った。
「思う存分戦うで」
「勿論そのつもりよ」
「生きるか死ぬかやな」
「その意気でね」
 まさにというのだ。
「戦って」
「それでやな」
「勝つわよ」
「戦は生きるか死ぬか」
「そして勝つか負けるか」
「そういうもんやな」
「出来るだけ避けたいものだけれど」
 アレンカールは決して好戦的ではない、避けられる戦は避けるべきという考えは彼もまた同じだ。太平洋と地下世界の他の星の者達と同じである。
「それでもよ」
「やるからにはな」
「勝たないとね」
「そういうことやな」
「ええ、ただね」
 ここでだ、アレンカールは。
 自軍を見て眉を顰めさせてケツアルコアトルに話した。
「気になることはね」
「こっちの軍勢はどうもな」
「やっぱり疲れているわね」 
 このことが問題だというのだ。
「ここまでの長旅と災害への対策とね」
「モンスターや獣との戦いも多かったしな」
「それに昨晩の警戒でね」
「結構疲れてるな」
「今から食事を摂って幾分エネルギーを補給するにしても」
 それでもというのだ。
「どうもね」
「疲れてるな」
「そこが問題ね、かかったわね」
「日本の策にか」
「ええ、けれどね」
「それでもやな」
「こうしたことも覚悟のうえで来たし」
 アレンカールも連合の星の者達もそして将兵達も愚かではない、こうしたことはもうわかっていたのだ。
「それならね」
「もう、やな」
「ええ、戦ってね」
「勝つな」
「だから疲れることは承知のうえでも」
 それでもというのだ。
「交代で休ませて娯楽もしてもらって」
「英気を養って疲れも取ってな」
「ここまで来たから」
 だからだというのだ。 
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