八条学園騒動記
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第五百八十七話 開演してその二
「心から思うよ」
「タイツがなしだったら」
それならとだ、蝉玉は話した。
「もうカラーもね」
「そのエリマキトカゲみたいな」
「これもね」
女性の服のそれについて言うのだった。
「なかったらね」
「よかったんだね」
「私としてはね」
菅に眉を曇らせて話した。
「よかったわ」
「その時代のイギリスの服はね」
「女の人だとなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「それがね」
「普通というか流行だったのよね」
「だからエリザベス一世も」
処女王と呼ばれたこの人もというのだ、英語ではバージンクイーンともフェアリクイーンとも呼ばれる。
「肖像画にあったね」
「あれね、宝石キラキラの」
「あれでも凄いカラーだね」
「今の私達みたいにね」
「それが流行だったからだよ」
「付けていたのね」
「フランスやスペインでもそうで」
こうした国々でもというのだ。
「もうね」
「流行だったのね」
「そうだったから」
それでというのだ。
「タイツはどうしてもだけれど」
「カラーはなのね」
「こちらは男の人も付けてるし」
見れば菅も付けているしスターリングもだ。
「だからね」
「それでよね」
「もうね」
「カラーは我慢してなのね」
「そうしてね」
「やっていくしかないのね」
「邪魔で暑くて下が見えないけれど」
それでもというのだ。
「もうね」
「仕方ないとして」
「やっていこう」
「そういうことね」
「カラーはね」
「よくわかったわ、我慢するわ」
蝉玉は嫌々ながらも納得した。
「リハーサルの時もだったけれどね」
「じゃあ本番でもね」
「そうするわ、しかし変なファッションね」
蝉玉はあらためて言った。
「本当に」
「だから流行だから」
「当時はこれがお洒落だったのね」
「だからね」
それでというのだ。
「エウロパ人は悪趣味でもね」
「流行は流行ってことでなの」
「受け入れて」
そうしてというのだ。
「やっていこう」
「そういうことね」
「タイツも流行だしね」
スターリングはこちらの話もした。
「結局は」
「あれもなんだ」
「そうだゆ」
「じゃあ」
蝉玉はこう言った。
「忠実に再現したら」
「僕達タイツだよ」
「そうよね」
「けれど皆嫌がるから」
タイツを穿くことはだ、連合では男性はタイツを穿くものではないという考えが定着しているからだ。幾ら舞台でもだ。
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