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夢幻水滸伝

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第百六十四話 土佐沖にてその七

「もうね」
「そこまで言うか」
「あんたもウイスキーボトル七本とか無理でしょ」
「飲めるもんやないわ」
 インペルはすぐに答えた。
「流石に」
「そうでしょ、だからね」
「それでやな」
「ええ、ちょっとやそっとじゃね」 
 それこそというのだ。
「あの娘には飲み勝てないわよ」
「その前に酔い潰れるな」
「絶対にね、まあそのこともね」
「戦の後やな」
「そうよ、じゃああらためてね」
「作戦会議やな」
「そうしましょう、何処をどう警戒するかよ」
 アレンカールは不敵な笑みを浮かべた、そうしてだった。
 日本とその金塊の地図と海図、立体のそれを出した。そのうえで仲間達に話した。
「ご覧の通りよ」
「日本とその周りは」
「そう、そしてね」
 ここでだ、アレンカールは。
 シャーデーに応えて浮かぶ駒を一つ地図の上に置いた、そうして言った。
「今はあたい達はここにいるわ」
「フィリピンの東やな」
「そして日本から見てね」
「土佐の真南やな」
「ええ、このまま北上していく予定だけれど」
「周りに島も浮島もない」
 インペルは真剣な顔で述べた、その地図を見ながら。
「その辺りに伏兵は置けんな」
「海の中に伏兵を置くこともあるわよ」
「実際に中国との戦ではしてきたな」
「後ろに海中から回り込んでね」
「それが大きかったな」
「日本はそれもしてくるわ、あと今は台風もないわ」
 アレンカールはこのことも指摘した。
「南洋戦で使ったけれど」
「小林君の風水師の力で操ったな」
「そして他の気候の変化もないわ」
 今度は地下世界と北極上空の枢軸との戦のことを話した。
「そこを衝いて攻めてくることもね」
「ないな」
「後は総攻撃のその一瞬を攻める」
「アメリカ戦やな」
「それも気をつけることよ、あと夜襲ね」
 これもというのだ。
「気をつけないとね」
「夜襲な」
 ルルフォはその指摘に鋭い顔になった。
「それもやな」
「もう夜襲はね」
「奇襲の基本や」
「もう基本中の基本で」
 それでというのだ。
「誰でもしてくる」
「そんなレベルのものね」
「ほんまにな、けれどやな」
「それも考えられるから」
「まして向こうの移動要塞の蓬莱は動きも速いしな」
「それを有効に使ってもきてるから」
 そうしてこれまでの戦で相手の機先を制してきた、まさに先んずれば人を制すと項羽が言った言葉通りにだ。
「それでやな」
「そのことも気を付けてね」
「やってくな」
「遠路はるばる来たから」
 それだけにというのだ。
「何としても勝つわよ」
「あらゆる奇襲に気をつけたうえで」
「そうしていくわよ」
 こう言ってだった、アレンカールは日本に近付いたところで全将兵達に第一種警戒態勢に入らせた、そうしつつ日本に向かっていた。
 このことは芥川も知っていた、それでにんまりと笑って言うのだった。
「ええわ、この流れ」
「自分の狙い通りやな」
「そや、ほんまにな」
 中里にもその笑みで返す。 
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