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第二章
「炎系までです」
「それはこれからも同じか」
「レベル八に至り」
魔術師の術を全て覚えてもというのだ。
「同じで錬金術も勉強中ですが」
「そちらもか」
「燃えるものです」
即ち炎系だというのだ。
「他はです」
「覚えてもか」
「使う気はないです、部下の為なら使いますが」
それでもというのだ。
「私自身の戦闘ではです」
「炎系だけか」
「炎こそが最大の力であるのですから」
それ故にというのだ。
「他の術は考えられません」
「軍勢同士の戦では他の術を使ってくれるな」
「氷系等ですね」
「そうしてくれるな」
「私は騎士です」
敬礼をしての返事だった。
「ならばです」
「戦の時は命令に従ってだな」
「戦います」
これがエリザの軍勢同士の戦闘での返事だった。
「ですから」
「それでか」
「使わせて頂きます」
「ならいいが」
「はい、冒険の時等は」
あくまでというのだ。
「炎に限ります」
「攻撃はか」
「炎こそが最強なので」
はっきりと言い切った。
「そうしていきます」
「氷や爆裂の術よりもだな」
「そちらに限ります」
こう言って実際にだった。
エリザは戦場ではともかく冒険の時や個人で闘う時は炎系の術ばかり使っていた。そうして彼女を炎の魔術師と呼ぶ者すら出た。
その彼女を見てコシュチェシコはまた言った。
「優秀なのだがな」
「こだわりが強過ぎますね」
「炎系の術に」
「最近錬金術も学んでいますが」
「そちらでも炎系ばかりで」
「他の術は身に着けても使おうとしない」
「困ったことですね」
彼の周りにいる師団の幕僚達も話した。
「魔術師という職業はこだわりの強い者が多く」
「エルフ族もそうですが」
「しかも彼女はアイルランド人です」
「アイルランド生まれの者もこだわりが強いといいますが」
「全て揃っているということだな」
コシュチェシコは幕僚達の言葉を聞いて言った。
「つまりは」
「左様ですね」
「職業と種族、国籍」
「全て揃っていますね」
「こだわる条件が」
「代々のことであるそうだな」
コシュチェシコはこうも言った。
「魔術師の家でアイルランドで暮らしていて」
「その様ですね」
「それではですね」
「こだわりが強くて当然ですね」
「そうなることも」
「仕方ないか、戦では他の術も使ってくれる」
命令に従ってだ。
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