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母の心配

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第三章

 ある日母は優子に心配している感じの伝言をスマホで送って言ってきた。
「あの、雅子がまたね」
「連絡取れなくなったの」
「さっきメールしたらね」
「返事なかったのね」
「そうなの、またなの」
「全く、あの娘いつもそうよね」 
 優子はスマホで返事をした。
「単行本作業に入ったら」
「返事しなくなるわね」
「行方不明になるのよ」
「お家にもいないし」
 雅子の家にだ、大学を卒業してマンション暮らしをはじめたのだ。
「仕事場にもね」
「アシスタントさんも答えてくれないでしょ」
「大丈夫って言うばかりで」
「そうよね、何処かで缶詰になってお仕事してるから」
 単行本作業をしているというのだ。
「それに専念しているからよ」
「それはわかってるけれど」
「急に連絡取れなくなるのは困るのね」
「心配になるじゃない、何でその時は行方不明になるのよ」
 母は明らかに嘆いていた。
「まさかあんな欠点があるなんて」
「欠点かしら」
「欠点よ、絵は上手でストーリーもキャラクターもいいのに」
「漫画は面白いわね」
「それで何で単行本作業になるといなくなるのよ」
 それがわからないというのだ。
「終わったらいつも出て来るけれど」
「締め切り守らない人よりましでしょ」
「某江口さん?」
「あと全然描かない人もいるから」
「某富樫さんとかね」
「そうした質問には答えないけれど雅子は締め切りちゃんと守ってるしアニメスタッフからもアシスタントさん達からも評判いいから」
 それでというのだ。
「悪いところないでしょ」
「締め切りから逃げないし」
「それ手塚治虫さんもしたから」
 何と東京から熊本まで逃げたことがあったらしい。
「そういう人と比べたらね」
「雅子はいいのね」
「仕事してるじゃない」
 しっかりと、というのだ。
「だったらね」
「いいのね」
「何も問題点ないわよ」 
 それこそというのだ。
「あれこれ言わないでいいわよ」
「けれど心配なのよ」
「いつも急にいなくなるから」
「ええ、単行本作業するって言ったら」
「自分のブログやツイッターで言ってるじゃない」
 その仕事に入ることをだ。
「だったらね」
「心配いらないの」
「終わったら終わったって言って自宅か仕事場に戻るし」
 そうなるからだというのだ。
「いいでしょ」
「あんた楽観的過ぎるでしょ」
「お母さんが心配性なの、雅子も社会人よ」
 大学を出てそうなったというのだ。
「だったらね」
「もうなのね」
「そうよ、心配しないで」 
 そしてというのだ。
「落ち着いていればいいのよ」
「そうかしら」
「雅子がいなくなったらいつもそう言うけれど」
 それでもというのだ。
「本当にね」
「心配無用なのね」
「ええ、そうよ」
 実際にと言ってだった。
 優子は母にもう落ち着いて寝る様にスマホで言ってから話を終えた、そして雅子が単行本作業を終えるとだった。 
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