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理解者達

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第三章

「有り難うございます」
「あの時の」
「はい、あの時お家から脱走していまして」
「それで、ですか」
「探していましたら」
「その時にですか」
「助けてくれたんですね」
「いや、俺は」
 これといってとだ、桜井は答えた。
「何も」
「いえ、小次郎はお陰で助かりました」
「ワンッ」
「話は全部聞いたよ」
 ここで叔父も言ってきた。
「君は正しいことをした」
「そうですか」
「間違っているのはあいつ等だ」
「親父とお袋ですか」
「そして校長先生だ、確か君の高校の校長先生は加貫世寝介だったな」
「知ってるんですか」
「中学の同級生だった、あいつとはタイプが違うが同じ位最低な奴だ」
 ヤクザ者である桜井の父、彼から見て弟と同じ位というのだ。
「強い者に弱く弱い者に強くだ」
「昔からそんな奴だったんですね」
「権力者や金がある人間にはへらへらと媚び諂ってだ」
「弱いとですか」
「いびっていた」
 叔父は忌々し気に語った。
「そうしてだ」
「そうした奴だったんですね」
「学校の教師に変わったと聞いたが変わらなかったんだな」
 叔父は忌々し気に言った。
「本当にな。このことは教育委員会に連絡する」
「そうするんですか」
「あんな奴だ、他にも問題行為や余罪が多いだろう」
「何かセクハラとかパワハラとかお金の動きが怪しいとかです」
「学校でも噂になってますな」
「校長ですけれど学校一の嫌われ者です」
 桜井は叔父に話した。
「それじゃあ」
「ああした奴は教師になったら駄目だ」
 絶対に、そうした言葉だった。
「だからだ」
「それで、ですか」
「このことを詳しく教育委員会に連絡してだ」
 そしてというのだ。
「あんな奴は教職にいられない様にする」
「そうですか」
「そしてもう君はうちに来たらどうだ」
「叔父さんのところにですか」
「もうだ」
 それこそというのだ。
「あいつのところにはいるな」
「ヤクザ屋さんだからですか」
「それもあるが今回君は正しい」
 完全にというのだ。
「それがわからない様な人間のところにはな」
「いたら駄目ですか」
「そうだ、あいつはそのうち捕まる」 
 叔父は断言した。
「その時縁があったら君も難儀だ」
「子供だとですね」
「だからだ、うちに来てだ」
「親父とお袋とはですか」
「縁を切るんだ」
「つまりそれって」
「うちの子供になってくれ、うちは子供もいないしな」
 このこともあってというのだ。
「来てくれるか」
「あの、いいんですか?」
 桜井は叔父の言葉をここまで聞いて言った。
「そんなことして」
「君がいいならいい、少なくともあいつと一緒にいていいことはないと思うが」
「ええ、今回のことですっかり嫌気がさしました」
 桜井もこのことを話した。
「本当に」
「それならだ」
「もうこれで、ですか」
「縁を切ることだ、いいな」
「それじゃあ」
 桜井も即決した、そしてだった。 
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