夢幻水滸伝
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第百六十一話 まだ見えないがその十一
「今は」
「双六やないとか」
「何か今はな」
どうにもというのだ。
「する気になれんから」
「それでかいな」
「見ながら紅茶飲んどくわ」
こう言うのだった。
「そうするわ」
「そやねんな」
「お菓子もあるし」
今度は笑いながらクッキーを出した。
「これもな」
「飲んで食べてか」
「見せてもらうわ」
ベッシー達の遊びをというのだ。
「心おきなくな」
「ほな見てくれるか」
「是非な、しかしな」
「しかし?」
「いや、今はゆっくりと羽根伸ばせてええな」
レベッカは笑ってベッシーに話した。
「ほんまに」
「そういうことやな」
「やっぱり戦が近付いたら忙しなるし」
「戦自体はな」
「もう忙しくない筈がない」
まさにというのだ。
「どんな相手でもな」
「戦は手を抜いた方が負けるからな」
「その時点でな」
まさにそうなるというのだ。
「ほんまにな」
「それでや」
「戦になったらな」
「こんなくつろげる筈がないからな」
「今はしっかりやってこうな」
「そうしような」
二人でこう話してだ、そしてだった。
レベッカは紅茶を飲んでクッキーを食べつつベッシー達の遊びを見守った。そうして時間を過ごしていたが。
夜になると休んだ、アレンカールもその中でクルマとホンワナ、ピエトリ達三人に対して夕食の後で言った。
「本来はね」
「ここで、ですね」
「酒ですね」
「それを飲んでますね」
「そうよ、そうして楽しんでたけれど」
それがというのだ。
「今は戦の前だからね」
「それで、ですよね」
「自分達も飲まんで」
「牛乳とか飲んでますね」
「あたいが今飲んでるのはラマのお乳よ」
見れば飲んでいるのはそれだった。
「けれどどっちにしてもお酒はね」
「飲めませんからね」
ピエトリも言ってきた。
「戦の前ですから」
「もうそこはね」
「我慢してですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「それであたい達は当直でおないからね」
「コーヒーは、ですね」
「くつろいでいる時は飲みたくなるけれど」
そのコーヒーをというのだ。
「寝る前に飲むとかはね」
「ないです」
「そういうことだから」
「ミルクを飲んで」
「そしてね、じっくりと寝るのよ」
「寝るのも必要ですさかい」
ホンワナはアレンカールに真剣な顔で述べた。
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