戦国異伝供書
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第百九話 白から水色へその十
「当家にとって重い諱じゃ」
「はい、伊達家を中興された方です」
片倉は政宗に神妙な顔で述べた。
「そのお名前は」
「そうであるな」
「実にです」
「重い諱であるな」
「それがしもそう思います」
こう政宗に話した。
「まことに」
「ではな」
「その諱に相応しいだけのですか」
「者になる、それこそな」
「天下ですな」
「伊達家が天下を取る」
今それを言い切った。
「その様にする」
「それこそがですな」
「その諱に相応しい」
まさにというのだ。
「者になるぞ」
「では」
「うむ、これからもな」
「励まれますな」
「文武共にな」
「それでは」
「さて、それでじゃが」
政宗はさらに話した。
「わしはもうすぐ奥を迎える」
「田村家からですな」
成実が応えた。
「既に決まっていましたな」
「うむ、愛姫というな」
「何でも大層お奇麗な方だとか」
「実は楽しみでもある」
政宗は成実に微笑んで話した。
「そうであるならな」
「奥方にお迎えして」
「共に過ごしてな」
そうしてというのだ。
「いくことになるからには」
「お美しい方なら」
「願ってもない、気立てもよいと聞くし」
その気質もというのだ。
「尚更な」
「楽しみですな」
「全くじゃ」
こう言うのだった。
「家のこともあるが」
「奥方様のことも」
「楽しみじゃ」
「左様でありますか」
「もっとも奥を迎えれば」
政宗はさらに話した。
「わしも元服しておるしな」
「家の政にもですな」
「入りな」
そしてというのだ。
「家督もな」
「譲られますな」
「父上は近いうちに隠居されたい様じゃ」
輝宗のこの考えも察して話した。
「だからな」
「それで、ですな」
「わしは奥を迎えてな」
それからというのだ。
「すぐにでもな」
「家督を譲られてですな」
「家を大きく動かしていくことになる」
その様になるというのだ。
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