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戦国異伝供書

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第百九話 白から水色へその五

「そのうえで、です」
「家を治めていくことであるな」
「その様にお願いします」
「ではな」
 梵天丸は片倉の言葉を受けてだった。
 それでだ、片倉を見てそうして時宗丸も見て言った。
「そなた達二人を軸にしてな」
「そうしてですか」
「伊達家をですか」
「一つにまとめ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「家を治め」
「そうしてですな」
「若君が常に言われていますが」
「天下を」
「そうしよう、わしはまず奥羽を一つにするが」
 そのつもりであるが、というのだ。
「しかしな」
「今申し上げた通りにです」
 片倉は梵天丸にあらためて述べた。
「やはりです」
「家を一つにすることであるな」
「左様です」
 まさにというのだ。
「やはりです」
「そうであるな、では」
「宜しくお願いします」
「家をまとめることを第一にする、そしてな」
 また片倉と時宗丸を見て話した。
「その軸にな」
「我等をですか」
「置かれます」
「そして弟もな」
 彼もというのだ。
「置きたい」
「若君、お袋様ですが」
 ここで時宗丸が言ってきた。
「決してです」
「わしをであるな」
「疎ましく思ってはおられませぬ」
「うむ、わしの勘違いであったな」
「はい、既に若君は元服すればです」
 その時はというのだ。
「藤次郎というお名前がです」
「授けられるな」
「そのことが決まっています、これはです」
「藤次郎という名はな」
「伊達家の主のお名前なので」
 だからだというのだ。
「ですから」
「もうわしが主になることがであるな」
「はい」
 まさにというのだ。
「決まっていますので」
「では、か」
「はい、伊達家の主としてです」
「学問に励んでか」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「武芸の鍛錬も積まれ」
「己を磨いてか」
「家を一つにし」
「天下を取れるだけの者にじゃな」
「なって下さい」
「ではな、しかしじゃ」
 梵天丸は片倉の言葉を聞いてこうも言った。
「わし一人で天下は取れぬ」
「だからですか」
「小十郎と時宗丸もな」
「我等もですか」
「共に学問と武芸に励み」
 そうしてというのだ。
「己を高めてな」
「共にですか」
「天下を目指そうぞ、お主達はわしの両腕じゃ」 
 そうなるというのだ。
「わしが元服したならな」
「だからですか」
「宜しく頼むぞ」
「有り難きお言葉、それでは」
 片倉は梵天丸に応えて言った。 
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