八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十話 鑑定の結果その十二
「冗談抜きでな」
「一生恨まれるとか」
「心の傷はそれだけ怖いってことだよ」
「だから触れるな、だね」
「絶対にな」
そこはというのだ。
「いいな」
「肝に銘じておくよ」
「あらためてだな」
「そうしていくよ」
「絶対だからな」
そこはというのだ。
「人を傷付けないことはな」
「そうだよね」
「人を傷付けたら自分もな」
「傷付けられるね」
「因果応報だからな」
「世の摂理だね」
因果応報はそうしたものだということは僕もわかっているつもりだ、人間はよい行いも悪い行いも必ず自分に返って来るものだ。
「まさに」
「ああ、だからな」
「人を傷付けたらね」
「自分もだよ」
「傷付けられるね」
「軽い気持ちでそうしてもだよ」
「そうなるね、しかもね」
さらにだ。
「傷付けた相手に恨まれるし」
「いいことはないだろ」
「本当にそうだね」
「だからだよ、いいな」
「人は傷付けないことだね」
「むしろ人の心の傷を癒す」
このことがというのだ。
「あるべき姿だよ」
「そうだよね」
「俺は医者だけれど外科医だろ」
「手術は出来るけれどだね」
「カウンセラーじゃないからな」
このことは残念そうに言った、尚親父は脳外科の方も出来ていてそちらの手術でも凄腕であることが知られている。
「心の傷、トラウマまではな」
「治せないんだね」
「話は聞けてもな」
それでもというのだ。
「癒すことはな」
「出来ないんだね」
「それはカウンセラーか宗教家の仕事だよ」
「宗教は何の為にあるか」
「救われる為にあるだろ」
「神様仏様によってね」
「だから人の心はな」
それはというのだ、親父は決して無神論者ではない。むしろ神仏を信じていて信仰心を大事にする人でもある。
「宗教家の人がな」
「癒すものだね」
「ああ、そうした人達の仕事だよ」
「トラウマがあるなら」
「それから救われたいならな」
それならというのだ。
「もうな」
「宗教家だね」
「そうした人達の仕事だよ」
まさにというのだ。
「本当に」
「そういうことだね」
「それでお前はな」
「うん、そうしたことはしない」
「よくわかってくれよ」
「本当に肝に銘じておくよ」
「ああ、それでな」
親父は僕にさらに話してくれた。
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