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戦国異伝供書

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第百八話 関東管領上杉家その十一

「そのうえで、です」
「こちらには来ない様にする」
「そうしてもらいましょう、また最上家とは」
 この家とはというと。
「やはりです」
「伊達家にですな」
「向かってもらい」 
 そうしてというのだ。
「我等はです」
「伊達家が来ない様にする」
「その様にしましょうぞ」
 こうしたことを話してだった。
 氏康はこれからのことも考えだした、既に鉄砲はそれなりに揃い小田原城もこれまで以上に堅固になり。
「それぞれの城の連携もな」
「出来てきました」
「さらに」
「一つの城が攻められると」
「他の城が助ける」
「その様な仕組みが出来ていますな」
「小田原の城を軸に」
 家臣達は氏康に述べた。
「いい具合にです」
「そうなってきましたな」
「ではですな」
「その守りを固め」
「そしてですな」
「何かあればな」
 その時はというのだ。
「それで対するぞ」
「はい、それでは」
「その様にです」
「その様にしていきましょう」
「何かあれば」
「その時は」
「ではな、しかし思うことは」
 それはとだ、ここで氏康はこうも言った。
「鉄砲をより多く揃えたいのう」
「ですな、確かに」
「ここに鉄砲があればです」
「尚更よいですな」
「ではですな」
「より鉄砲を買いますか」
「そして出来れば鉄砲鍛冶もですな」
 家臣達も氏康に応えて述べた。
「呼びそして」
「鉄砲を造らせますな」
「その様にしますな」
「是非な、しかし鉄砲を仕入れられる堺は織田家が抑え」
 そしてというのだ。
「国友等の多くの鉄砲鍛冶もな」
「織田家が雇い入れていますな」
「そして次々に造らせているとか」
「最早織田家は二十万近い兵を有していますが」
「そこにさらにですな」
「鉄砲もですな」
「抑えてしまったのう、手に入れようとしても」
 他の家がそれを望んでもというのだ、北条家以外の家も。
「そうしてもな」
「これが中々です」
「手に入らない様になりましたな」
「武田家も長尾家も毛利家も」
 ここで長尾家と出たが実は北条家は政虎もう輝虎から出家して謙信と号している彼を上杉家を継いだつまり関東管領になったとは認めていないのだ。これは甲斐の守護である武田家も同じことである。
「中々です」
「鉄砲を手に入れられていませんな」
「どうも」
「そして当家も」
「そうじゃな、これはな」
 まさにというのだ。
「由々しきことじゃ」
「全くですな」
「どうにかして鉄砲を手に入れたいですが」
「それが出来ぬ」
「これが中々」
「どうしたものか」
「うむ、しかしな」
 それでもというのだ。
「何とかしてな」
「はい、鉄砲を手に入れていきましょう」
「そして我等でも造る」
「それが出来る様になりましょうぞ」
「是非な、織田家の兵は弱いというが」
 それでもというのだ。 
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