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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十話 鑑定の結果その六

「クリスマスのことだけれど」
「あの日にだね」
「一緒にね」
 こう僕に言ってきた。
「何処か行かない?さっき詩織とお話してたでしょ」
「見てたんだ」
「お話してるところに通りがかって。聞くつもりはなかったの」
 香織さんはこのことは断った。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「あのお話を聞いて」
 それでというのだ。
「私もね」
「僕になんだ」
「私も義和のことそう思っているから」
 だからだというのだ。 
「いてもたってもいられなくて」
「お部屋に来たんだね」
「そうだったの」
「そうだったんだね」
「返事待ってるから」
 僕にこう言ってきた。
「私かね」
「詩織さんか」
「どちらか選んでね」
「わかったよ」
 僕は香織さんに静かな声で答えた。
「そうさせてもらうよ」
「絶対にね」
「何処に行くかは」 
 そのクリスマスにだ。
「僕の方で決めるから」
「それでよね」
「待っていてね」
「ええ、わかったわ」
 香織さんは僕に微笑んで答えてくれた。
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
「それとね」
「それと?」
「私は義和がどちらを選んでも恨まないから」
「詩織さんを選んでもだね」
「それでもね」
 こう僕に言ってくれた。
「恨まないわ」
「そう言ってくれるんだ」
「これは詩織もだと思うわ」
 あの娘もというのだ。
「絶対にね」
「そうだね、詩織さんもそうしたことで恨む人じゃないね」
 僕もこのことはわかった。
「絶対に」
「そう、だからね」
「香織さんも詩織さんもだね」
「人を好きになって」
 そしてというのだ。
「その後で恨むって悲しいわよね」
「そうだね、よくあるお話かも知れないけれど」
 愛情が憎悪に変わることもある、憎しみを恨みに変えても大体同じだろう。その言葉がマイナスであるだけに。
「それでもね」
「自分がそうなったら嫌よね」
「くれぐれもね」
 このことはというのだ。
「僕も思うよ」
「だから」
 それでだ。
「私もね」
「僕を恨まないんだ」
「そのことは約束するから」
「そうなんだね」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「安心してね」
「そのことは」
「何があっても」
「そうなんだね」
「やっぱり誰でも恨みたくないわ」
 香織さんは苦い顔で述べた。 
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