八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百八十八話 飲みに行ってその四
「そのことはです」
「事実ですか」
「左様です」
「これで、ですか」
「はい、ですから値段も」
養殖もので暫く冷凍していたものでというのだ。
「それなりなのです」
「他のお料理もですね」
「一度新聞記者が取材に来まして」
「ああ、新聞記者とかマスコミは」
もうそれだけ聞いてわかった、雑誌の記者も同じだ。テレビ局だと話にかけて酷い。
「酷いですよね」
「態度が悪いですね」
「何様って風ですよね」
「食べて冷凍だ養殖だと言い出して」
「お店の中で騒いだんですね」
「毎朝新聞の記者が」
マスコミの中でも札付きのところだ、ネットでは潰れて欲しい企業で毎年堂々の一位に輝いている。
「もうそうしまして」
「災難でしたね」
「原海山雄という人でしたが」
名前もわかっていた。
「その時お客様のお一人がスマホで録画してくれて」
「ネットに拡散してくれたんですね」
「記事に書く前に」
まさに先手を打ってだ。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「逆にあちらが叩かれました」
「炎上ですね」
「そうなったので」
「それ何時ですか?」
「十年前のことです」
その頃からマスコミは下劣だった、もっと言えば日本のマスコミがまともだった時代なんてなかった。
「助かりました」
「というか口に合わないってお店の中で騒いだら
それこそだ。
「人としておかしいですね」
「左様ですね」
「その時点で」
最早だ。
「取材してやっている、ですよね」
「それで全国に紹介してやる」
「マスコミってそうなんですよね」
天婦羅が来た、海老や鱚に蛸そして野菜が美味しそうだ。
「ずっと」
「左様ですね」
「やりたい放題やってしかも責任を取らない」
「普通のお店なら潰れることをしても」
「それでも存在し続けますから」
官公庁でも抗議が殺到して変わるがマスコミは別だ。
「だからですね」
「そうした態度でしたが」
「というかはっきり言ってるなら」
冷凍もので養殖ものだとだ。
「食べて文句言う方がおかしいですね」
「左様ですね」
「むしろ」
本当にそちらの方がだ。
「おかしいですよ」
「ですが逆にあちらが炎上したので」
ここでだ、お店の人は。
笑った、だがその笑顔が妙に思えた。まるで自分自身がそうした、狙っていたことが成功した時を思い出す様な笑顔になってそうして僕に話した。
「よかったです」
「そうですか」
僕はその不気味に感じたことを隠しながら応えた。
「それはまた」
「はい、何度も申し上げますが」
「お店のお料理は、ですか」
「素材は申し上げた通りで」
そしてというのだ。
「値段もです」
「その素材に相応しいだけですか」
「そうなることを心掛けています」
「そうなんですね」
「若しです」
「若し?」
「欲を張りますと」
その時はというと。
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