不死身の男
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第六章
数夜這い続け敵の前哨基地を抜けた、それからさらにだった。
アメリカ軍の指揮官たちが指揮所であるテントに集まることを想定しそこに向かた、そして実際にだった。
アメリカ軍一万を指揮する指揮官達はテントに集まっていた、彼等はジープに乗りそれぞれテントに集まっていた。
「あと少しだな」
「日本軍も随分強いが」
「あと少しだ」
「あと少しで日本軍を倒せる」
「全く、随分粘るな」
「死ぬまで戦うのが日本軍か」
彼等は苦い顔で軍議の前に話していた。
「ビルマの方でもそうらしいな」
「五百人の部隊がいれば四九五が戦死するまで戦い残った五人は自決するか」
「アッツ島でもそうだったが」
「ここでもそうか」
「死ぬまで戦うか戦えなくなって自決する」
「降伏はないか」
「さっさと降伏すればいいだろ」
腹立ちまぎれに言うのだった。
「どう見ても負けるんだからな」
「それで何故戦い続ける」
「負けるなら命を大事にしろ」
「イタリア軍ならすぐに逃げるぞ」
「戦う以前にな」
「日本軍がイタリア軍みたいならな」
「俺達も楽なのにな」
それこそというのだ。
「そうだったら」
「特にここには信じられない奴がいるからな」
「とんでもなく強い日本兵が」
「何であんな奴がいるんだ」
「よりによって俺達のところに」
「あいつ一人にどれだけやられた」
「名前は知らないが」
船坂のそれはというのだ。
「それでもな」
「あの日本兵を何とかしないが」
「あと少しだ」
日本軍の殲滅、彼等が言う業際まではというのだ。
「それならな」
「連中が隠れている洞窟に火炎放射器を入れるか」
「それであいつも焼いてしまうか」
「何でも今は重傷らしいしな」
「流石に動けない筈の傷らしい」
「ならだ」
「もう焼き殺せ」
指揮官達はまるで怪物を倒す時の様に話していた。
「そうしてしまうべきだ」
「あんな化けもの他にいるか」
「あれはもう人間じゃない」
「侍は強い」
「確かに日本軍は強い」
「その強さは桁が違う」
「グルカ兵よりまだ強い」
イギリス軍の精鋭である彼等よりもというのだ。
「だがな」
「あいつはその中でも特別だ」
「日本人の言う鬼か」
「鬼の様な奴だ」
「その鬼と戦うならな」
「もう徹底的にやれ」
「火炎放射器で洞窟ごと焼き払え」
たまりかねた様な口調で言う者すらいた。
「さもないとこちらに犠牲者が出る一方だ」
「もう既にかなりの犠牲者が出ているんだ」
「あいつの指揮する砲撃にあいつ自身が銃や手榴弾を使ってどれだけやられた」
「とにかくあいつを殺せ」
「あいつをまず何とかしろ」
こうしたことを言っていた。
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