夢幻水滸伝
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第百五十四話 同盟軍崩壊その七
「嫌やったわ」
「うちもやで、勝っても負けてもな」
「私等仲ええし」
「そうやさかいな」
起きた世界でそうであるからだというのだ。
「これで敵同士やなくなってよかったわ」
「そうやね」
「負けたのは確かに残念やけど」
そう思うことは事実だが、というのだ。
「綾乃ちゃんとの関係がこっちの世界でもお友達になれるんやったら」
「ええね、ほな」
「またな」
「会おうな」
二人はこう話してだ、そのうえで。
小雪は後方に下がり綾乃は軍勢同士の戦に加わった、そうして日本の棟梁として自ら前線に立ち自身の術と大蛇で戦った。
中里と小泉の勝負は佳境を迎えようとしていた、妖術で無数の髑髏を飛ばしつつ。
小泉は中里にこう言った。
「もうそろそろな」
「終わらせるつもりやな」
「自分は強い」
中里に対して告げた。
「それも尋常やなくな、私とここまで戦えた奴はおらん」
「そやったか」
「その強さ本物や」
中里のそれはというのだ。
「まさにな、それだけにな」
「長々とはやな」
「もう充分長く戦ってるが」
それでもというのだ。
「もうここでや」
「決着つけるか」
「そうさせてもらう」
髑髏を幾つも飛ばしても中里は二刀と術で全て潰す、それを見つつの言葉だ。
「これから」
「ほなどうする」
「それを今から見せる」
小泉はこう答えてだった、まずは髑髏を出してそれを飛ばすことを止め。
己の神具、先程まで出していた髑髏もそうである妖術を授けてくれる児雷也の巻物を出した。それを口に咥え両手で印を結び。
天を鳴らし地を揺らした、そうしつつ中里に言った。
「奥義中の奥義出したる」
「妖術のそれか」
「そや、それにや」
印を解いた、そして今度は右手に瓶割を構えた。
「私自身もな」
「攻めてくるか」
「天からは無数の雷が落ち地から溶岩が噴き出す」
見ればどちらもそうなりつつあった、天も地も雷と溶岩がそれぞれ見えている。
「その中で私が攻める」
「そうして僕を倒すか」
「この攻撃どう凌ぐ」
「凌ぐも何もや」
それこそとだ、中里は小泉に返した。
「答えは一つや」
「私を倒すか」
「今からな」
両手の刀、童子切と千鳥を手に言う。
「それを見せる」
「さて、これは凄いで」
鵺も中里に言う。
「天と地からも攻撃が来てや」
「しかもあいつも攻めてくる」
「こんな状況はないで」
「これまで僕も一騎打ちをしてきたけどな」
「同じ神星の連中とな」
「あの二人も強かったが」
それでもという口調での言葉だった。
「小泉もな」
「負けてないな」
「ああ、そやからな」
「ここはやな」
「全力で向かう」
こう言うのだった。
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