夢幻水滸伝
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第百五十一話 吹雪の中の夜襲その十
「一瞬遅れたらな」
「いや、わかったか」
「ああ、けどほんまにな」
「一瞬遅れたらやな」
「あたしはやられてたな」
「その一瞬でやな」
「助かった、やっぱりあんたは強いな」
こう言ってだった、そのうえで。
トウジは香菜と再び向かい合って一騎打ちを再開した、二人の闘いは続いた。
一騎打ちは他の場所でも行われていた、玲子は元春と対峙しながら彼女に言った。
「あんたの鞭は凄いね」
「この双鞭やな」
執事の服を戦場でも着ている元春は両手に一本ずつその鞭を持っている、金属製のそれは一メートル程の長さの棒であり幾つも節がある。
「これな」
「ああ、凄い威力だよ」
「これを受けて倒れんモンスターはおらんしな」
「軍勢も一撃でね」
「大人数をまとめて吹き飛ばせる」
「そうした神具だね」
「そや、それにや」
元春は火の鳥も出した、その鳥を玲子にぶつけんとする。
その鳥を跳躍でかわし着地した玲子にさらに言った。
「これもあるで」
「火鴉壺だね」
「そや」
「色々あるな」
「それに術もある」
「だからあたしにも勝てる」
「自分ではそう思ってる、あんたも強いけどな」
それでもというのだ。
「負けるつもりはないで」
「そうだね、けれどあたしもだよ」
玲子は朱槍を両手に持っている、そうして構えつつ言った。
「そうそうね」
「負けるつもりはないやろ」
「全くね」
それこそという返事だった。
「だからここにいるんだよ」
「そやな」
「あたしは一騎打ちが好きでね」
「戦の中でもやな」
「特にそうでね」
それでというのだ。
「やるからにはね」
「負けるつもりはない」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「そのことを言っておくよ」
「そやね、しかしな」
「あんたもだね」
「私は戦は好きやないけど」
「やるからには」
「絶対に勝たなあかんって考えや」
それだけにというのだ。
「そやからやるで」
「そうだね、じゃあいくよ」
「こっちもな」
元春は今度は術を出した、目を光らせ火球を出してそれを玲子に放つ。玲子がそれをかわすとだった。
前に突進し双鞭を繰り出す、玲子もそれを槍で受ける、そうしながら。
足を出した、前に蹴りを出し。
元春の腹を攻めてそれから槍の刃のない方を振ってそれで一撃を浴びせる、だがその強烈な二撃を受けても。
元春は立っている、そうして再び鞭を繰り出す。玲子はそのうちの一撃を右肩にもう一撃を左腿に受けてそのうえで言った。
「効くねえ」
「あんたのもな」
元春も言う。
「かなりな」
「あたしじゃないと終わってたよ」
「私の双鞭を受けてもあまりダメージは受けてないのは凄いわ」
「いや、結構効いてるさ」
玲子は笑って返した。
「実際にね」
「そうなんかいな」
「そうさ、だから言ったんだよ」
効くと、というのだ。
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