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新オズのつぎはぎ娘

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第七幕その六

「あんたの背中に皆で乗ってね」
「それでっていうんだ」
「僕の背中に乗って」
「お菓子の国まで飛んでいけば」
 そうしてというのです。
「一気にいけるわね」
「そうね」
 ドロシーはつぎはぎ娘の言葉に応えました。
「そうなるわね」
「いい考えでしょ」
「ええ、ただね」
「ただっていうと」
「いえ、ここからお菓子の国までね」
 それこそというのです。
「歩いていってそののりをね」
「楽しむつもりだったの」
「そうだったけれど」
「じゃあ僕も歩くよ」
「一緒に歩いていくよ」
 ピーターはドロシーにこう返しました。
「そうさせてもらうよ」
「それでいいよね」
「ええ、ただ貴方はその大きさだと」
「実は僕は小さくなれるから」
「そのことは気にしないでね」 
 ピーターはドロシーに答えました。
「僕の特別な力でね」
「昔西の魔女に多き過ぎるから邪魔だってかけられた魔法だけれど」
「身体を小さくも出来るんだ」
「念じれば大きくもなれるよ」
「そうも出来るからね」
「あの魔女がそんなことしたんだ」
 トトはピーターの言葉に目を丸くさせて言いました。
「そうだったんだ」
「本当はずっと小さくさせるつもりだったみたいだよ」
「実はね」
「けれどドラゴンの身体には魔法への耐性があって」
「それでなんだ」
「小さくなる魔法をかけらても」
「戻ることも出来るんだ」
 そうだというのです。
「それで魔女も悔しがったけれど」
「僕としてはよかったよ」
「あの魔女は意地悪だったからね」
 トトも覚えていることでした。
「ずっとそうするつもりだったね」
「そうだったんだ」
「自分でも言ってたよ」
「それがね」
「自由に身体の大きさを変えられる様になったって」
「もう地団駄踏んでたよ」
「悔しくて仕方がないって」
 ピーターはトトに笑ってお話しました。
「これがね」
「その時がまた楽しかったよ」
「その光景見てみたかったよ」
 トトはそのお話を聞いて心から思いました。
「本当にね」
「けれどトト」
 そのトトにドロシーが言ってきました。
「もう西の魔女も東の魔女も反省してね」
「いい魔女になったからだね」
「あまりそうしたことを言うことはね」
「よくないね」
「人はその人の昔の悪いことは言うまでじゃないわ」
 ドロシーはこうも言うのでした。
「言っても仕方ないでしょ」
「そうだね、言われてみれば」
「今更どうにもならないし」
 昔の悪いことはです。
「反省しているならね」
「それでいいことだし」
「そう、だからね」 
 それでというのです。 
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