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新オズのつぎはぎ娘

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第七幕その二

「それも大きいね」
「ええ、あんた達もそうだけどね」
「そうだよ、君だけじゃなくてね」
「あんたもかかしさんもジャックも木挽きの馬もね」
「あとここにはいないけれどチクタクもだね」 
 彼もというのです。
「何度どれだけ回ってもね」
「目が回らないわね」
「だからもうくるくると動けるね」
「好きなだけね」
「そのことも君の踊りには大きいよ」
「君にしか出来ない踊りで」
 ジャックも言うのでした。
「オズの国でしか観られないね」
「あたしはオズの国の住人だしね」
「そうだね、僕このことでもね」
 ジャックはあらためて言いました。
「オズの国にいてよかったと思うよ」
「あたしのダンスを見られるから」
「そうだよ、歌もいいけれどね」
「ダンスがなのね」
「本当にいいよ」
「ぬいぐるみの身体でないと出来ない」
 木挽きの馬も言います、皆は歩くことを再開していてそのうえでお話をしています。歩きながらお話をしているのです。
「僕も無理だね」
「あんたも何も食べなくても休まなくてもいいけれどね」
「そうした身体だけれどね」
「そこはあたしと同じでも」
「うん、君の踊りはね」
「あたしにしか出来なくて」
「勿論僕にも無理だよ」
 そうだというのです。
「これがね」
「それでそのダンスを見られて」
「僕もジャックと同じ考えだよ」
「そうなのね」
「あと君は暗い曲は本当に歌わないね」
 このことは臆病ライオンが言いました。
「色々なジャンルの歌を歌ってもね」
「そしてダンスを踊ってもね」
「暗い曲はないね」
「だってあたしそうした曲性に合わないから」
 つぎはぎ娘は臆病ライオンに答えます、歩いているその時も動きはもう踊っているものになっています。
「だからね」
「それでだね」
「もう絶対にね」
「明るい曲だね」
「暗い曲なんて」
 それこそというのです。
「踊らないしね」
「歌わないね」
「何があってもね」
「君は本当に明るい性格だしね」
「オズの国は皆明るいけれど」
 それでもというのです。
「あたしは一番じゃないかしら」
「そうかも知れないね」 
 実際にとです、臆病ライオンは答えました。
「本当に」
「その自信はあるわ」
「そうだね」
「というかね」
 ここで言ったのは腹ペコタイガーでした。
「君が暗い曲を歌うとか」
「想像出来ないでしょ」
「全くね」
 それこそというのです。
「出来ないよ」
「そうよね」
「一体どんなものか」
 こうも言いました。
「果たして」
「あたし自身もよ」
「そうだよね」
「あたしが暗いなんてね」 
 それこそとです、つぎはぎ娘も言います。 
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