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気まぐれメルシィ

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興味ない系男子 だけど実は……

2024年 東京

俺の名は国原歌月、プログラミング系の高校に通うクリエイター気取り。正直な所自分とパソコン以外興味ないただの電子オタク。

歌月「うげ……やっぱリア充電車かよ……気持ち悪ッ!!」

渋谷方面に向かう電車はリア充の若者によって占拠されていた、所構わずピンクの空気を撒き散らす車内に気分は最悪、心の中でリア充に訴え、死んだ目で周りを凝視した。

「心の声駄々洩れだよ?歌月君」

隣で俺の名前を呼ぶ女の子、振り向けば見慣れたあいつだった。

歌月「隣にいるならかけろよ、ミク」
ミク「ずっと声かけても無反応だったじゃん!!スマホばっかり見て!!」

俺の横で騒ぐこいつは幼馴染の初音ミク、同じ学校でミュージック系の電子学科にいる。歌う事が大好きでやたら可愛い学校のアイドルだ。

同時に俺にとって一番メンドクサイ幼馴染だが。

ミク「もう、話してる時ぐらいスマホやめてよ!!」
歌月「はいはい、凄いですねー」(棒)
ミク「絶対聞いてないでしょ、ネットにあげた歌動画の感想聞きたいだけなの!!」

可愛いけどこういう我儘な所あるからマジで困る。
それに最初に言っておくけど俺、お前の動画全部見たよ?見たけどなんで本人の前で感想言わなきゃならないの?そう言うのってネットの書き込みで匿名で語る事じゃないの?なんでリアルなの?

〈間もなく、渋谷~渋谷に泊ります〉

アナウンスと同時に電車が止まる、改札を出た俺とミクはビル街の中を歩いて行く。
10月になってそろそろ周りの学校も学園祭の準備が始まり、学園祭のポスターが至る所に貼られている。

ミク「学園祭、もうすぐだけど歌月君の学科やる事決まった?」
歌月「ああ、オリジナルのデジタルシューティングゲーム出展するよ、太陽系デスコって言うんだけど」
ミク「シューティング?面白そうだね!!ちなみに私は1日目はメイド喫茶、2日目は……」
歌月「ライブステージだろ?お前と同じ学科のGUMI先輩がビラくれたぞ」
ミク「持っててくれたの!!」

食いつき加減が凄いな、ミクって結局俺の事どう思ってるか謎だが少なくとも好感度が高いのは事実、だが俺の何が良いのやら……

学校に着くとお互い学科ごとに分かれる、教室に入ると朝からプログラムを組む先輩がいた。

歌月「KAITO先輩、おはようございます」
KAITO「やあ、おはよう。相変わらず朝から疲れた目をしているね」
歌月「先輩、そもそも俺はいつもこんな目ですけど」
KAITO「わかってるよ、でも君だって出展する太陽系デスコの開発リーダーじゃないか」
歌月「周りからやれって言われたんでやってるだけですけど」

正直言って開発リーダー任されてるけど基本的に大まかな素材プログラム組んだのは俺でそれに色々後付け設定や難易度追加してデバックプレイしてるだけだし、特に俺のやる事は検閲と調整だけだが……

講習後昼休み

カシュッ!!

自販機で購入したモン〇ターエナジーを開け、喉に流し込む。
手元には昼食の焼肉弁当、このセットで約400円、お決まりの昼食だ。

歌月「これ食ったら早く教室戻ろう」

ご飯に盛られた焼肉を掻き込み、近くのゴミ箱にパックを捨てた。

教室に戻ると入口で目を光らせて俺を見つめる幼馴染。まあ、無視るほうがいいかもな。

歌月「あ、自〇の敵Pの情報更新されてる」
ミク「ちょっと、私の事なんでスルー!!声かけるべきでしょ!!」
歌月「学校で幼馴染アピールやめてくれませんかねー」
ミク「酷ーい!!何でいつも私を空気みたいに扱うの?!」

KAITO「やれやれ、歌月君は羨ましいね」(この先輩リア充です)

講習後 歌月の自宅

歌月「周りでイチャつくの好きじゃないんだよな、あいつ何で恥ずかしくないのか」

そもそも俺があいつを避けるようになったのは、親のせいだったりする。

最初こそお互いよく遊んでました、そりゃあ超仲良しでした。

だけど友達のままだったら話は変わってた。
何せ中学時代に突然俺はミクの婚約者にされたのだから。そのせいで学校中で強烈なニヤニヤに襲われ滅茶苦茶からかわれたのだから。そんな状況でも俺にアプローチをかけてくれた事はミク本人もまんざらでもない事だがただ俺からしてみれば恥ずかしい。

歌月「俺はそもそも……

恋愛自体が恥ずかしいんです!!」(純情系男子)

そうだよ!!俺は恋愛に慣れてない、穢れも無い、クリスタルだよ。
そんな俺が何で幼馴染ごときでこんなにドライにならなきゃいけないの!!俺だって嫌だよ、でも俺はミクと付き合っても無いのに何故いきなり婚約者、そう言うのってある程度関係行けるところまで行った時になる関係でしょ、何で俺もう人生バラ色ルートなの、よく分からん!!

ピンポーン

歌月「あ、はーい……」

枯れた声で玄関に出るとそこには……

ミク「どうも♪」

キャリーケースを抱えたミクが目の前に現れた。

歌月「急にどうした?」
ミク「しばらくの間、一緒に住んでも良い?」

歌月「え……



えええええええええええ!!」

 
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