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新オズのつぎはぎ娘

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第四幕その八

「ここは」
「そうでしょ、次の歯がもうすぐ生えるから」
「そうだね」
「もう全部の歯がここ一ヶ月ぐらぐらして噛んでも力が入らなくて根の方が痛くなってね」
 木は痛みについて具体的にお話しました。
「堪らないんだよ」
「ううん、僕達にはわからないことだけれど」 
 ジャックは歯がない立場から言いました、そのカボチャ頭には実際に歯は一本もありません、このことはかかしや樵、つぎはぎ娘や木挽きの馬も同じです。
「辛いことはわかるよ」
「どうしたものかしら」
 ドロシーはここで考え込みました。
「貴方は痛みがなくなったらお酒をいつも飲むことはないわね」
「歯が痛くないとね」
 それならとです、木はドロシーに答えました。
「もうね」
「飲むのは夜だけで」
「普段は寝そべることもないよ」
「それじゃあ」
「確かに歯が生え代わる時って辛いわ」 
 ナターシャが言いました。
「私もこの前やっと全部生え代わったけれど」
「そうそう、歯がぐらぐらしてね」
 木の言う通りにとです、神宝も言います。
「生え代わるまで嫌なんだよね」
「それもそれが全部の歯となると」
 恵梨香は眉を曇らせて言いました。
「確かにかなり辛いわね」
「噛むのにも力が入らなくて歯茎も痛くなって」 
 カルロスは自分のことを思い出しています。
「辛いね」
「ここは早く何とかならないと」
 どうかとです、ジョージも言います。
「駄目だね」
「ええ、私もそう思うわ」
 ドロシーも乳歯から永久歯に生え代わった時のことを思い出しつつ言います。
「辛いことよね」
「そうですよね」
「そう、じゃあね」
「ここはどうするか」
「もう全部の歯を今のうちに抜くのがいいかしら」
 つぎはぎ娘の言う通りにというのです。
「それが」
「やっぱりその方がいいですか」
「そうかしら」
「僕は栄養は食べるだけじゃなくて葉や茎からも採れるからね」 
 ここで木も言ってきました。
「暫くは歯がなくても大丈夫だよ」
「そうなのね」
「だから抜いても」
 歯を全てというのです。
「大丈夫だよ」
「じゃあ決まりね」
 つぎはぎ娘がまた言ってきました。
「全部抜きましょう」
「そうしろっていうのね」
「そう、痛いのは最初だけで」
「後は楽になるから」
「いいでしょ」
「そうなるかな」 
 ジョージもつぎはぎ娘の言葉を聞いて頷きました。
「ここは」
「そうでしょ、だからね」
「今のうちになんだ」
「歯を抜くべきよ」
「全部だね」
「それがいいわ」
「何か君やたら歯を抜きたがるね」
 ジョージはここでつぎはぎ娘の主張にそうも思いました。 
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