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転生したらまたしても猫娘だった件

作者:炎の剣製
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NO.007 フォウの説教

 
前書き
更新します。 

 



牙狼族との戦いが終わって一応もう時間が時間なので朝になったらまた話し合いをしようとリムルは言い、さっきまで戦っていた相手同士なのにすでに一緒に寝てしまっているゴブリンと牙狼族の光景を見て、

「いいものだね……」
【うん。落ち着いたところで、イズク……。すこし、いいかな?】
『なに? フォウ』
【私は決してイズクのイエスマンなわけじゃないから言わせてもらうね。さっき、リムルに言った話……私にとってすこし傲慢に見えたんだ】
『えっ……?』

先ほどのというのは『むやみやたらに喰いまくらないでね? 必要だと思った時にだけなら使っていいよ』というリムルに対しての出久の言いつけ。

『ど、どうして……? だってリムルさんが悪に染まらない様にって思って言った言葉なんだよ?』
【うん。でもね? 私にはすくなからず傲慢に見えちゃったんだ……。イズクは私がイズクに話した過去の事、覚えてる……?】
『忘れるわけないよ。オールフォーワンに捕まって強制的に『生命力を奪う』個性を使わされて苦しんでいた事は……』
【うん、ありがとねイズク。でもね? 私はオールフォーワンに捕まる前はすくなくとも自分の意思で『生命力を奪う』個性を使用していたんだよ】
『えっ……それって』
【そう……苦しい世の中を生き抜くために、生きるためには妖術や個性を使わないと……私は、ダメだった。
……群れに入れない、人に飼ってもらってもまた最初の時の様に命を吸い取って殺してしまうかもしれない、一緒の時間を生きられない……そんなさまざまな感情が綯い交ぜになって、どうしようもない気持ちを発散するために好き勝手に暴れた結果が『猫又の怪』と呼ばれた一因なんだよ……】
『フォウ……』

まるで懺悔でもしているようにフォウは自身の過去の傷を開きながらも、苦しいけどそれでも出久に分かってもらえるために敢えてその話をしていく。

【生きるためっていうのは過剰表現だけど、それは決してはずれじゃない。そしてそれはリムルにも該当するんだよ。私達のもとの世界ではゲームとかでもいいけどスライムってどんな存在だった……?】
『主人公が最初期にやっと倒せるモンスターだけど、そのうち一撃で倒されてしまうような儚い存在……かな』
【そう。リムルはそんな存在だから生きるのを必死に頑張っているんだよ。襲われればスキルも使うしなんでもする。
暴風竜ヴェルドラっていう存在と出会わなければもっと苦労したかもしれない】

フォウの言い分はだいたい当たっていた。
大賢者と捕食者いうチートスキルがあるとはいえ、ヴェルドラに会わなければリムルはずっと封印の洞窟の穴倉の中に孤独を味わいながらもいたかもしれない……。

【これはイズクをちょっと侮辱するようにも聞こえちゃうかもしれないけど、私と出会わなければもしかしたらイズクは別の道を行ったかもしれない。オールマイトにも振り向いてもらえなかったかもしれない……もしくは無個性のまま個性社会に耐えきれずに最悪自殺もしたかもしれない……ありとあらゆる可能性がイズクにはあったんだよ】
『…………』

そんな、諭すかのようなフォウから次々と出てくる言葉に、出久はすこし泣きそうになっていた。
そうだ、色々な奇跡のような出会いがあっていまの自分があるのに、そんなオリジンを忘れていたなんて……出久はそれで後悔する。

【そして、これはイズクに言う最後の説教だけど、リムルの行いを否定するという事は私の過去の行いも否定しちゃうの……?】
『そんなこと……!』
【そう……イズクはそれくらいの制約をリムルに押し付けようとしているんだよ。
すべてが正しくて間違っているかなんてわからない。
リムルが悪の道に進むかどうかだなんて誰も予想できない。すべてはその時の状況によるんだよ。
オールフォーワンももしかしたら『個性を奪う』なんて個性が発現しなかったらもっと違った形になっていたかもしれない……。
だから、イズクもリムルを補佐しようって決めたんでしょ?】
『うん……』
【だからさ、リムルを縛ってあげないで。きっと自由に動いた方が良い方に好転すると思うから。イズクが私を救ってくれた時の様に……】

そこまで言われて出久は心の中で、

「(確かに傲慢だったね……何様もいいところだ。トレイニーさんは言ったじゃないか。この世界は弱肉強食だと。リムルさんもそれで強くなろうとしているんだ。それを他人の僕が妨害しちゃダメだよね)」

そう思ったあとに、

『うん。フォウ、ちょっとリムルさんに謝ってくる』
【うん。そうした方がいいね。それでこそ私が大好きな人の事を思いやれるイズクだよ】
『………フォウ、ありがとう』
【うん♪】

それで近くで寝ているのか分からないが動いていないリムルに出久は近寄っていって、

「リムルさん。少しいいかな?」
「お?どうしたんだ、イズク。改まって?」
「うん。ちょっと謝ろうと思って」
「謝る? なにを……?」
「うん。僕はさっき君の事を縛ろうとした。スキルをむやみに乱用しないでって言って……」
「…………」

リムルは真剣な雰囲気だと感じて黙って聞いてくれている。
それだけで出久はありがたい気持ちになって、先ほどのフォウの話をなぞるように話して謝罪をリムルにした。










俺は少し感動していた。
さっきは怒ってたのに、今はすぐに謝罪をしてきて、そして「スキルは自由に使っていいよ。僕が口出しできる立場じゃないからね」と自由を許してくれた。
それだけでもう俺はちょっと心休まる気分になっていた。

「でも。なんかイズクって年上な感じがするよな。ちょっと活発だけど冷静だし、牙狼族の奇襲も読んでいたみたいだし」
「まぁ。生前の勘って奴かな」
「生前? ってことはやっぱりイズクも!」
「ということはやっぱりリムルさんも?」
「「転生者!!」」

思わず嬉しくなる。
こんなにも早く同郷のものと会う事ができるなんて!

「そっか。名前とかでそんな感じはしていたんだ。まるっきり日本人の名前だもんな。『イズク』って」
「そうだね。でも、それじゃリムルさんって生前はどんな感じだったの? どんな個性を持っていたの?」
「個性……?個性って性格の事か?」
「えっ?」

うん? なんだろう。イズクとの会話で微妙な違いがあるみたいだ。
それで俺はためしにイズクの世界について聞いてみた。
すると出てきたのはとんでもない内容だった。
なんと、世界総人口の8割がなにかしらの『個性』というものを宿してヒーロー、あるいはヴィランとして活動していたなんて!

「それってなんてアメコミ!?いや少年ジャ〇プ系かな!?」

なんか久々にオタクな気分が蘇ってきたぞ!
それからいろいろと出久の周辺事情について聞いていくと、結構重たい話が出てきた。
聞けば聞くほどに可哀そうになってくる感じだ。
でも、それでも最後は生命力を全部消化して天寿を全うしたあとに、俺みたいに世界の声でこの世界に転生してきたんだとか。

「刺されて死んだ俺とは大違いな差が出来たな。だからイズクはそんなに強いんだな」
「僕はまだまだ強くないよ。たまたま運のめぐり合わせでフォウと出会って、色々な人に助けられながらできた行動だったから。
それにみんなからもらった個性がなかったらもっと弱かったかもしれない」

そうなんだよなー。
その貰った個性達が統廃合された結果が今のイズクのスキルなわけで、一つ一つどんなスキルか聞いていくとどれもこれも俺より強力なもんばっかじゃん……と落ち込む。

「すごいんだなー。だから大賢者も言っているけど聖なる気配も出せているのか」
「あんまり僕は納得していなんだけどね」

そんなことないと思うけどなー。
万単位で人の命を生涯救い続けてきたイズクは間違いなく聖人に近いものがあると思うし……。
謙遜しちゃうところも性格故って感じかな。
よし!

「それじゃ改めて言うけど俺の仲間になってくれないか? イズクがいたらきっと楽しくなりそうだって俺の勘が告げているんだ」
「こんな僕でよかったら……よろしく、リムルさん」
「おう! よろしくなイズク!」

そこまで言って俺とイズクはこうして本当の意味で仲間になれたのかもしれないと感じた瞬間だった。
でも、そっか……。
そういえば、まだイズクって名前はこの世界では正式な名前じゃないんだ……。
明日やろうと思っていた名付けをイズクにも正式に付けてあげるのもいいかもな。
そう思いつつ、夜は更けていくのだった。






 
 

 
後書き
タグの『新しい名前は出雲』は削除しました。
イズクでみんな通してんのにいまさらイズモって言われても違和感の塊でしかないですから。


こうして出久はフォウに諭されていくぶんリムルに肯定的になりました。




それでは、ご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
贅沢は言いません。ですので厳しい意見でも構いませんので感想を下さればそれだけやる気に繋がりますのでよろしくお願いします。 
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