八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百八十四話 テストが終わってその七
「北海道の人かな」
「今小樽にいるの」
「ああ、あそこね」
「あのお寿司とか銀行で有名な」
「あと運河もあったね」
「奇麗なのよね、運河も」
「あそこだね、北海道だったら」
それならだ。
「神戸の学校に入るなら」
「寮に入るって言ってるわ」
「そうなるね、やっぱり」
「学校の方のね」
「あそこだね」
女子寮だ、噂によると花の園なんていいものじゃなくてもう女の子独特の匂いに満ちた物凄いところらしい。
「いい先輩と同じ部屋だといいね」
「あそこ三年、二年、一年で暮らすのよね」
「三人一緒でね」
これは男子寮でも一緒だ。
「一年生は怖い先輩だとね」
「それ有名よね」
「寮には付きものかな」
こうした話はだ。
「そうしたお話は」
「よく寮の子も言ってるでしょ」
「言ってるよ」
もう小学校の時から聞いている。
「上下関係が凄いって」
「そうでしょ」
「もう三年生の人なんて」
それこそだ。
「神様だって。それもね」
「それも?」
「男子寮よりもね」
むしろだ。
「女子寮の方が凄いって」
「野球部やラグビー部や柔道部の寮よりも」
「もっとね」
女の子の方がだ。
「上下関係厳しいってね」
「規律もね」
「それもだね」
「宝塚でもそうでしょ」
「あそこは凄いらしいね」
「もう軍隊真っ青らしいわよ」
それこそというのだ。
「日本軍もびっくりっていう位だとか」
「昔の日本軍よりも」
「帝国陸海軍ね」
どちらも鉄の軍律で知られていた、そのあまりにも厳しい軍律こそが帝国陸海軍の誇りであった程だ。
「まだね」
「宝塚は厳しいんだね」
「そうみたいよ」
「色々聞いてるけれど」
その宝塚のことはだ。
「実際になんだね」
「本当に厳しくて」
「日本軍以上だね」
「その生活を乗り越えられたら」
それならというのだ。
「もう何処でもやっていける」
「そこまで凄いんだね」
「そう、けれどね」
「けれど?」
「うちの女子寮は流石にね」
「宝塚程はだね」
「厳しくないみたいよ」
「まあそれはね」
言われてみればだ。
「宝塚は特別だからね」
「無茶苦茶厳しいのよね」
「だからね」
それでだ。
「流石のうちの女子寮は普通の学校の寮だから」
「普通に厳しいってことね」
「そうだね、というかね」
「というか?」
「いや、別に四時半起きとかないよね」
僕は香織さんに尋ねた、話をしながらもう足は自然に香織さんについていっていた。完全にこの娘のリードだった。
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