夢幻水滸伝
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第百四十八話 蝦夷へその二
「それは」
「全くだぎゃな」
「そうしなければ」
喜久子も言ってきた。
「我々は世界を救うことなぞです」
「出来ないです」
「その通りですね」
「はい、まことに」
太宰は喜久子にも応えた。
「そうでもしなければ」
「まことにですね」
「これまでの戦でもそうでしたし」
「これからもですね」
「守っていくべきです」
「その通りやね」
綾乃も太宰の言葉をよしとした、そのうえで言うのだった。
「若し法を守らんと」
「戦においても」
「うち等ならず者になってな」
「この世界を救うなぞですね」
「出来るものではないです」
全く以てというのだ。
「そうしたことは」
「ほんまにね」
「ではロシア領に入らない様にして」
「今回は戦うことやね」
「そうしていきましょう」
「進路には注意やね」
「戦は出来るだけです」
太宰は綾乃に極めて落ち着いた声で話した。
「日本側か太平洋側で」
「そちらでやね」
「戦う様にしましょう」
「それがええね」
「そういうことで」
「そやね、それでその同盟のことやけど」
綾乃は今度は彼等のことを話した。
「あそこはこれまでで一番数が多いわ」
「兵の数で千二百万や」
中里が応えた。
「ほんまにこれまでの勢力で一番多いわ」
「こっちの二十倍やね」
「こっちは六十万でな」
「向こうは装備の質はよくないけど」
「こっちに比べたらな」
「鉄砲は少し質のええ火縄銃で」
綾乃はまずは銃の話をした。
「剣とか槍も大体十七世紀位やろか」
「この世界の欧州は十字軍の頃に火器がある位たい」
美鈴が言ってきた。
「それに比べたら技術は上たいが」
「それでもやな」
「そうたい、やっぱりこっちより低かとよ」
美鈴は中里に答えた。
「それもかなり」
「そやな」
「あれでも地下世界の技術レベルは上がったとよ」
「愛ちゃん達の政によってやな」
「あそこと北極上空、欧州は私等が思う異世界に一番近かとよ」
「特に欧州はな」
「そうした地域たい、それが愛ちゃん達が統一ばして」
その地下世界をというのだ。
「今に至るとよ」
「技術レベルも上がったな」
「そうたい、農業や商業、工業もよくなったとよ」
「愛ちゃん達も善政敷いてるんやな」
「それでたい、ただ」
「それでもやな」
「地下世界の技術レベルはまだ落ちるとよ」
そうした状況であることは事実だというのだ。
「そこは事実たい」
「それでやな」
「そうたい、数は確かに多かとが」
それでもというのだ。
「鉄砲はそんなので大砲もそうで」
「剣や槍もな」
「かなり遅れたもんたい」
「そやな、ただ術を使うモンは多い」
「こっちの二十倍だけあってな」
「武器の数もな」
それもというのだ。
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