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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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束の間

22世紀 リングマン宅

「ここが私の家だ。今日は、急ぎで空き部屋にベッドしか入れていないが足りないものがあったら何でも言ってくれ。」

病院から車で送迎されたゼロとアイリスは、現在リングマンの家の前にいた。途中で見えた街の光景は自分の知っているシティ・アーベルとは違い、破壊された痕跡がないどころか事件すらほとんどない街並みを見て驚かされた。事故は勿論、ロボットの暴走による事件もあまり起きないことに関してもハンターとして戦ってきたゼロにとってはとても信じられないことだった。

「こっちは私の部屋だ。後、妻が娘を迎えに行って戻ってくるはずだから娘のことに関しては帰ってきてから説明しよう。多少不自由かも知れないが我慢してほしい。」

リングマンはそう言いながら二人の今日から居候させる部屋へ案内する。

「娘さんって・・・・・もしかしてエリカさんとの子供ですか?」

「あぁ、妻と私のデータを基に生み出された正真正銘の子供だよ。」

「アンタ似か?」

「フッ、まさか。妻に似ているよ。私の頭に似せた帽子を被ってはいるが。」

部屋を開けて二人を中に入れる。

「基本的なことは私や妻に聞いてくれ。後、外出する際にも私か家族を同伴させるようになる。」

「別に逃げはしないさ。俺たちだって分からないことだらけだからな。」

「そうか・・・・・・おっ?丁度、帰って来たか。」

部屋から出て玄関の方へ行ってみると丁度リングを連れたエリカが帰ってきていた。

「パパ、ただいま!」

リングは、はしゃぎながらリングマンに抱き着いた。

「お帰り、リング。」

「パパ、いっつも遅いのにどうして今日は私よりも早いの?」

「う~ん~、パパはね、ちょっとしたお仕事でしばらくお家にいられるようになったんだよ。だから、リングが帰ってくるときはいつも家にいるよ。」

「そうなんだ~!パパ、お休みになったんだ~。」

リングを抱っこしながらリングマンは、ニコニコしながら答える。

「そうそう、実は今日から少しの間お家にいることになったゼロとアイリスだ。分からないことがあったらリングからも教えてあげるんだよ。」

リングマンは、ゼロとアイリスの紹介をする。

「ゼ、ゼロだ・・・・・・」

「えっと・・・・・アイリスよ。しばらく、よろしくね。」

ゼロは不器用ながら、アイリスは丁寧に喋る。自分の所にも子供型のレプリロイドは存在していたがほとんどはプログラマーの職に就く者が多く、このような本当に子供みたいな性格のロボットはいない。それ故に戸惑いを隠しきれなかった。

「わあ~!パパのお友達なの?」

「まあ、そんなところかな?仲良くしてあげるんだよ。」

「うん!」

「ほら、リングもちゃんと自己紹介しないと。」

「リングです!よろしくお願いします!!」

リングは頭を下げて挨拶をすると被っていた帽子が取れて転がってしまう。

「あっ。」

転がった帽子はゼロの足元で止まり、ゼロは拾って彼女に渡してあげる。

「ほらよ。」

「あ、ありがとう。えっと・・・・・・・」

「ゼロだ。」

「うん!ありがとう、ゼロお兄ちゃん!!」

リングは受け取ると嬉しそうにまた帽子を被り直す。

「うむ・・・・・・今日は新しい家族が来たことだし、外で食事でもするか。」

「あら?私の料理じゃ不満?」

折角なので外食にしようというリングマンに対してエリカはからかうように言う。

「何を言っているんだ。私にとってはエリカの料理が世界一だよ。」

「フフフッ、本当?」

「本当だとも。でも、今日は久しぶりに早く帰ってこられたんだし。ゼロとアイリスの歓迎会という事でいいんじゃないかな?」

「う~ん~、じゃあ、しょうがないわね。」

目の前でイチャイチャする二人を見てゼロとアイリスは、呆然とする。

「・・・・・・・・エックスとマーティとは別の何かを感じるのは気のせいか?」





























22世紀 セワシ宅

「・・・・・・・・」

一方、ドラミが住んでいるセワシ宅のベランダではキッドが夜景を見ながら黙り込んでいた。

「・・・・・・」


























時間は少しばかり遡ること数時間前のタイムパトロールのモニター室。

「これが病院から届いた二体のロボットの記憶メモリーのデータのサンプルです。」

届いたサンプルをセットし、キッド、長官、リングマンの三人で映像を見始める。

「これで入院しているロボット二人の素性が明らかになる。こういうのは本当はやりたくないのだがね。」

「んなこと言っている場合じゃないじゃないですか!」

「キッド落ち着け。その二人を犯人と決めるのはこれを視てからだ。」





しばらくするとゼロがシグマを滅多打ちにする姿が映し出される。

「見ろよ!やっぱり、悪い奴じゃねえか!!」

「いや、待て。まだ見始めたばかりだぞ。」

「うむ・・・・・あのスキンヘッドのロボットも初めて見るタイプだ。」

そして、少し経つとエックスとメカニロイドの暴走を止めるところなどが出始める。

「至って真面目だな(あのロックマンみたいなロボットは一体・・・・・・)。」

横目でリングマンはキッドを見る。

「お、俺と比べているのかよ!?」

「少なくとも入ったばかりのお前よりは真面目じゃないか?」

「ひどいぜ、先輩!俺ってそんな奴に見えたのかよ!?」

「あぁ、危うく味方ごと撃ち抜きそうになっていた新米のことはよく覚えているからな。」

「ぐっ!?」

「しかし、奇妙だな。先ほどから映されている姿は頭部以外形状が一致していない。改修でも受けたのか?」



やがて最初のシグマの反乱当時のものに切り替わり、VAVAとの戦闘でゼロが自爆してしまった。

『エックス!俺がしてやれるのはここまでだ!!』

「・・・・・・・・」

「キッド?」

無言になってしまったキッドを見てリングマンは隣を見る。


更にカウンターハンター事件での復活時。

「あっ!?」

コピーであるブラックゼロを見てキッドは目を丸くする。

「こ、コイツだ!?タイムパトロール本部を襲って俺たちをコテンパンにした奴は!!」

「・・・・・確かに体色を見比べれば外見は一致する。」

しかし、その直後本物のゼロの攻撃によってブラックゼロは大破してしまった。

「・・・・・・・・・・・えっ?」

ほぼ一瞬にして破壊されてしまったブラックゼロを見てキッドは口を開ける。

ブラックゼロはまだ何も攻撃していない。

自分たちタイムパトロールが総出で抑えることができなかったにもかかわらずゼロは呆気なくブラックゼロを破壊してしまったのだ。

そこへ追い打ちをかけるようにゼロの一言。

『シグマ!俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!』


『俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!』



『俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!』



『俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!』





「・・・・・・・・・出来が良くない?」

ある意味メンタルがズダズダにされたように感じるキッドを他所に次はドップラーの反乱時のものへと切り替わる。終盤辺りで見せた「鬼」と化したエックスの姿に関してはリングマンはかつてのスペースルーラーズにも劣らぬ脅威を感じた。


そして、意外だったのはドップラーの秘密研究所で破壊されながらも復活してゼロの目の前に現れたドラえもんの姿だった。

「ど、ドラえもん!?何でアイツが!?」

その後もイレイズ事件、レプリフォース大戦、チャモチャ星での戦いが映され、ユーラシア事件の前にエックスたちと別れるドラえもんが映る。

「・・・・・・・ドラミが言っていたこと本当だったのか。」

「ふむ・・・・・・っとなると彼は重要参考人ともいえるな。こちらに戻ってきたときは本部に来てもらうようにしてもらおう。」

(ワイリーロボたちが普通にいるだとっ!?一体どうなっているんだ向こうは!?)

次のユーラシア事件に出てきたアルバイターに関しても三人は呆気にとられる。それでも最後まで人間のために動き続ける彼らの姿は称賛に値する活躍だというのは理解できた。

(あのワイリーナンバーズが世界を救うために動くなんて・・・・・・・・信じられん。)

元々フィフスナンバーズともいえる彼らがワイリー製のロボットにしては情に篤い面があり、ロックマンを何度か助けた経験もあるがまさかこうまで関わるとは思いもしなかった。

(それにしても彼らはどうやって生き延びたんだ?私たちでも・・・・・・くっ。)

ファイナルシグマWとの決戦の部分で終了し部屋の照明を戻すとそこには複雑そうな顔をしたリングマン、暗い顔になったキッドがいた。

「・・・・・・この映像で分かったことは、少なくともあの二人は襲撃事件には関与していないという事。もう一つは彼らは別世界・・・・我々も確認しているパラレルワールドの一つから偶然にも流れ着いた存在だという事。そして、彼 ゼロ君は宿命を背負いながらもその運命に抗っている一人の戦士だという事だ。」

長官はただ一人表情を変えることなく結論を述べる。

「だが、彼の意志が強いと言っても例のシステムがこちらの世界では一切稼働しないとは言い切れない。よって、二人を一時的に監視を付けての軟禁状態とする。その期間の間に我々がすることは、一つは彼らを元の世界へ戻す方法、もしくは『ロボット破壊プログラム』の完全な無力化だ。おそらく後者の方が難しいことだろう。だが、あの二人は別世界とは言え世界を救った英雄ともいえる存在だ。できる限りのことはしよう。それともう一つの課題は襲撃した黒いゼロ・・・・・仮称『ブラックゼロ』に関しては更に警戒する必要がある。彼の目的・・・・・いや、彼を回収し修理をした輩の全貌が分からない以上第二、第三の襲撃またはテロ活動のようなものが実行される可能性がある。」

「・・・・」

「リング君、君には二人の身元引受を頼みたい。君の経歴を考えれば上層部も二人を君の元へ置いとけば納得はするだろう。」

「・・・・・・・奴の最後の作品と考えると複雑ですが・・・・・いいでしょう。しばらく、私が預かります。」

「キッド君は待期期間を短縮して近いうちに現場に復帰してもらう。ブラックゼロの対策に加わってもらう。」

「・・・・・・」

「キッド?」

先ほどの態度が嘘かのようにキッドはそのまま黙って部屋を出て行ってしまった。

「キッド・・・・・」

「仕方のないことだ。彼は襲撃事件の時ブラックゼロを目の前にして惨敗した。ショックは大きいものだよ。君が引退するときのように。」

「・・・・・ですがキッドはきっと立ち直ります。アイツはそんなやわな奴ではありませんから。」




























そして、現在に至る。

「キッド、いつまでそこにいるの?もう、早くしないとご飯が覚めちゃうわよ!」

何度も呼んでいるにもかかわらずいつまでもベランダにいるキッドに対してドラミは痺れを切らしてやってきた。

「・・・・・・・・」

「いい加減にしないとご飯抜きにしちゃうわよ!さっさと・・・・・・」

引っ張って部屋の中に連れて行こうとしたドラミはキッドの手が異常なほど震えていることに気がつく。

「キッド?」

「・・・・・えっ?」

今まで気づいていなかったのかキッドはドラミの方を見る。

「ど、ど、ドラミいたのかよ!?」

「どうしたの、そんなに手を震えさせて・・・・・・・」

「手?」

キッドは自分の手を見てみる。

「何ともねえじゃねえか。」

「何ともなくないわよ!さっきまですごく震えていたのよ!?」

「震えてねえって。別に何でもねえよ・・・・・」

「キッド・・・・・・・最近のキッドなんか変よ。何かに怯えているようで・・・・・・」

無理やり誤魔化そうとするキッドをドラミは心配そうな顔をして言う。そう言われてしまうとキッドも隠しきることはできなかった。

「ねえ、一体どうしたの?」

「・・・・・・・怖えんだよ・・・・・・」

「怖いって・・・・・・何が?」

ドラミはキッドの話を聞く。

この間会ったゼロの記録映像に映されていたのがドラえもんの言っていたことと同じだったこと。

自分が惨敗したのはそのコピーであるブラックゼロであり、しかも何者かによって修理されてこの世界に潜んでいること。

話しているキッドの顔はいつもと違い不安に感じているように見えた。

「・・・・・・そう、お兄ちゃんの言っていたこと本当だったのね。」

「ドラえもんの方が頼もしく見えたぜ。あの映像では俺なんかと比べて全然勇敢に戦っていたんだからな。それに比べて俺は・・・・・」

キッドは顔を伏せながら弱弱しい声で言う。

「情けねえよ・・・・・・奴に負けたことを思い出すたびに怖くてしょうがねえんだ・・・・・また、負けちまったら・・・・・・・・」

「大丈夫よ、キッドはロボット学校の事件だって解決できたんだから。」

そんなキッドを励ますようにドラミが言う。

「あれは俺だけのおかげじゃねえよ。ドラえもんズが一つになったからこそできたことだ。」

「でも、キッドがあの時ダディ13号に操られていたらみんな危なかったのよ?」

「・・・・・・」

「自信を持って。いつものキッドならこのくらいの事で弱気なことは言わないはずよ!」

「・・・・・でも、俺はアイツを撃とうとしちまったよぉ。」

「謝ればいいじゃない。」

「えっ?」

「当たり前でしょ。住んでいる場所がわかるなら明日早速謝りに行けばいいんだから。」

「お、お、おい・・・・・それはちょっと・・・・・・」

「ほおら、さっさとご飯済ませて明日謝りに行きましょう。」

「おい、ドラミ!?」

ドラミに引っ張られながらキッドは困惑するものの、何か自分に差し掛かっていた靄が消えたような気がした。


























翌朝 リングマン宅

「おはよう、ゼロ。調子はどうだ?」

朝、ゼロが目を覚ましてリビングの方に行くと既にリングマンが新聞を読みながら朝食を待っているところだった。

「あぁ・・・・・相変わらず違和感を感じるがよく眠れた。」

「そうか、今日は休日だから家族と一緒に街に行くつもりだ。君たちも一緒にどうだ?アイリスは賛成していたが。」

当のアイリスは台所でエリカの手伝いをしている。

「俺は別に構わない。やることも無いからな。」

「なら、丁度いいな。この世界に慣れるのも大事なことだ。私たちと一緒に行って学ぶことも必要だろう。」

「尤も元の世界では、そんなにのんびりできたわけじゃないからな。」

「例のイレギュラーハンターという組織か。休日ぐらいまともに休めなかったのか?」

「俺は休むのは性に合わなかったんでな。」

「フン、面白いことを言うじゃないか。」

そう言っていると玄関のチャイムが鳴った。

「うん?こんな朝早く誰が来たんだ?」

「はいは~い!今行きま~す!!」

リングは走りながら玄関のドアを開けに行く。

「なあ、リングマン。一つ聞きたいんだが・・・・・・」

「パパ~!!猫ロボットのお客さん!!」

ゼロが何かを言いかけたがリングの声で遮られてしまう。

「キッドか?」

「ゼロお兄ちゃんに用事だって!」

「俺?」

不思議そうにゼロはリングマンと共に玄関の方へと行く。そこにはドラミと共にキッドが来ていた。

「ドラえもん?」

「ん?知っているのか?」

「いや・・・・だが耳が付いているし、体の色も違う。」

「ドラえもんは俺の同級生で親友だ・・・・・・。」

「ほら、キッド!ちゃんとして!」

言いづらそうにしているキッドに対してドラミが注意する。

「私、ドラミと言います。ドラえもんは私のお兄ちゃんで私はサポートのために作られた妹ロボットです。」

「ドラえもんの妹!?確かに妹がいるというのは聞いていたが・・・・・・・」

「あっ、それよりも・・・・・・キッド、早く!!」

「ど、ドラ・ザ・キッドだ・・・・・・えっと・・・・・・憶えているのか分からねえけど・・・・・その・・・・・空気砲向けて悪かった!!」

キッドはそう言うとハットを外して頭を下げる。当然憶えていないゼロは首を傾げた。

「もう!そこはすみませんでしたでしょ!」

「しょ、しょうがねえじゃねえか!?俺は謝るのが苦手なんだよ!!」

「えっと、キッドがご迷惑をかけてすみませんでした。」

「いや、俺も覚えているわけじゃないからあまり気にしなくていい。」

謝りに来た二人に対してゼロは言う。

「ところで・・・・・・ドラミと言ったか?ドラえもんに会わせてもらえないか?こっちにいるということは何か知って・・・・・・」

「すみません。お兄ちゃんは玉美ちゃんのお世話で過去に行ってほとんどこっちに戻ってこないの。」

「そ、そうか・・・・・・。」

「でも、近いうちに定期検診があるのでその時には戻ってくると思うわ。その時に・・・・・・」

「二人とも、ここで話すのもなんだから中に入って話そうじゃないか。何しろこちらはまだ朝食をとっていないからな。」

「「あっ。」」

「まさか、キッドが女の子と付き合っていたとはな・・・・・・」

「せ、先輩!?誤解だぜ!?誰がこんなへちゃむくれに・・・・・・」

「ん~?」

「いや・・・・・なんでもない。」

「エリカ、すまないがお茶を出してくれ。客が来た。」

そう言いながらキッドとドラミはリングマン宅の中へと入って行った。



























21XX年 レプリロイド墓地

「・・・・・兄貴・・・・・」

ナイトメア調査を開始した翌日。ビートブードは墓地に来ていた。墓石には「Boomer Kuwanger」と刻まれているがコロニー事件後にどういうわけか本人の残骸が盗まれてしまい、下には何もない。そんな墓に彼は花束をそっと置いた。

「ここ数週間、奇怪なことばかりが起こって不安に感じているよ。隊長と副隊長が調査に乗り出しているけどゼロ隊長が行方不明の今、どこまでできるか・・・・・・でも、俺はあの二人をできるだけサポートするつもりだよ。」

そう言うと彼は線香を上げて手を合わせるとその場から離れて行った。

「だから、見守っててくれ。俺たちが頑張っているところをさ。絶対にナイトメアの謎を突き止めるよ。じゃっ、また来るから。」

ビートブートが歩き去って行くと物陰の方から何かが現れ、墓に置かれた花束を手に取る。

「・・・・・複雑ですね、ここにいるのに見守っててくれなんて。」

彼は花を少しの間見ると再び元の場所に戻す。

「さて・・・・・・私も仕事に戻らなければ。今回のナイトメアとてエックスたちに狩り尽くされてしまうかもしれませんからね。」

彼は一瞬にしてその場から姿を消してしまった。


























19XX年 野比家

「ドラえもん、この問題教えて。」

「いいよ。」

エックスことのび太たちと別れて数か月。

玉美は初めての夏休みの宿題をドラえもんに教えてもらいながら解いていた。

「いやぁ~、暑いね~。」

ドラえもんは持っているアイスをペロペロしながら言う。それでも一応扇風機が回っている分外よりはマシだと思える。

「来週はジャイアンたちと無人島へキャンプに行くからね。ちゃんと宿題終わらせるんだよ。」

「うん。」

水で濡らしたタオルで顔の汗を拭きとりながら玉美は鉛筆を進める。

その時、のび太・・・・・今は玉美の机の引き出しが勝手に開いた。

「ん?」

ドラえもんが不意に振り向くとそこにはタイムパトロールの隊員が顔を出していた。

「ドラえもんさんですね?」

「は、はい。」

何事かと思いながらドラえもんは立ち上がりパトロール隊員の顔を見る。

「大変ながら申し訳ないのですがあなたに『時間旅行規制法』の違反の容疑が掛かっています。ご一緒に署に同行お願いします。」

「・・・・・・・・えっ?」

隊員から告げられた言葉にドラえもんは硬直する。


 
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