ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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コマンダー・ヤンマーク
アマゾンエリア
「ここがアマゾンエリアか・・・・・」
エックスは周囲を見ながら辺りを確認する。
このアマゾンエリアは、タイガードの管理している自然保護区同様にかつての自然をそのまま残した珍しい場所であり、かつて栄えた古代文明の名残が残された静かな森の中に巨像を造って栄えた遺跡が当時とほとんど変わらない姿で眠っている。
「エイリア、ここにナイトメア委員会の調査員がいるって言うのは間違いないのよね?」
『えぇ、障害が激しいからこちらからは状況は把握できないわ。通信が辛うじて繋がるのが幸いだけど。これもナイトメアの影響なのかもしれないわ。』
「取り敢えず奥へ進んでみるよ。突然切れるかもしれないからエイリアの方も慎重に頼む。」
『分かったわ。』
通信機を入れたままエックスとマーティは、アマゾンエリアの奥地へと足を踏み入れていく。少し先へ行くと蟷螂型メカニロイドが二人の接近に気づき両腕の刃を回転させながら飛ばしたり、小型の蟷螂型を生み出して襲い掛かってきた。
「プラズマチャージショット!!」
エックスはファルコンからフォースアーマーへと変更してメカニロイドを一掃する。アップデートのおかげでノヴァストライクの代わりにエイリアの組み込んだ新プログラムのおかげでセカンドアーマーと同様のギガクラッシュを発生させることができるようになっている。プラズマもガイアアーマーのデータをフィードバックしているため威力も向上し、大型メカニロイドでも急所を狙えば致命傷を与えることができる。
「何ッ!?」
蟷螂型メカニロイドをプラズマで破壊できたかと思いきや瞬時に復活したことにエックスは目を丸くする。蟷螂型メカニロイドは小型を生み出し、エックスたちへと向かわせる。
「どうなってんのよコイツ等!?」
「俺にもわからない。でも、ここで足止めを喰らっていたらまずいのは確かだ。」
エックスたちはメカニロイドをもう一度破壊すると再生する前にその場から離れていく。少し離れた洞穴に逃げ込むとアイゾックの呼びかけでこのエリアに来たレプリロイドたちを見つけた。
「君たちは?」
「あっ!イレギュラーハンターだ!?助けに来てくれたのか!!」
隠れていたレプリロイドたちはエックスたちを見るなり体を震わせながら安堵の表情を浮かべる。
「一体どうしたのよ?こんな穴に隠れているなんて?」
「実は私たち、アイゾックの呼びかけに応じてこのエリアの調査員と合流しようとしていたんです。ですが・・・・・ここに来る途中、何人かの仲間が気味の悪い何かに取り憑かれてしまったんです。」
「取り憑かれた?何に?」
「私たちにもよくわかりません。おそらくナイトメアだと思うのですが、いくら攻撃して破壊してもその度復活するんです。」
「取り憑かれた人たちはどうしたのよ?」
「まるでそいつと同化したように体のあちこちが変化して、他の仲間にも見境なく襲い掛かってくるようになったんです。まるでイレギュラーになってしまったように。」
「・・・・・・エックス、これって思っていたのよりまずそうじゃない?」
マーティはエックスの方を見て言う。それはエックスも同感だった。
「さっきの何度も復活するメカニロイドも、おそらく奴に取り憑かれた影響であのような現象が起きているのかもしれないな。みなさん、こちらの簡易転送装置でひとまずハンターベースに行ってください。あっちに行けば安全です。後、できるなら他のエリアに行く予定にしている人たちにも行かないよう呼び掛けてください。」
エックスはそう言うと持ってきた簡易転送装置をいくつか渡してその場を後にする。
『エックス、エックス』
「ん?」
自分に対する呼びかけにエックスは反応する。よく見ると岩の下にいつもの如くカプセルが隠れていたが何かしらのトラブルのせいで岩の下敷きになっていた。
「は、博士!?」
『・・・・・すまないが上の岩を壊してくれないか?こちらからでは開くことができないんじゃ。』
エックスはプラズマチャージショットで岩を破壊する。カプセルが開くとライトがふうっとほっとしたような顔をして姿を現す。
『ありがとう、エックス。あのままだったら何も気づいてもらえないまま放置されるかと思ったよ。』
「は、博士も態々こんな設置に悪い場所に現れなくても・・・・・」
『いや、すまない。何しろ今回の不可解な出来事が気になってしまってな。』
「それで動けなくなったら意味ないでしょ・・・・・・」
『ははっは・・・・・さて、冗談はこのくらいにしておいて話を戻そう。』
ライトは真面目な顔になって二人を見る。
『今回の事件、ゼロとアイリスの行方が分からない以上お前たち二人で動くには大変じゃろう。本来は以前のようにアーマーを直接渡したいのだが、ナイトメアに侵食され機能できなくなるのを恐れて安全にロックしたプログラムで渡しておく。ロック自体はエイリア君が四つ揃ったと同時に解析してくれるじゃろう。今渡すのはZセイバーの運用も兼ねたブレードアーマーのフットパーツのプログラムじゃ。このフットパーツはフリームーブのような飛行能力は有しないものの、以前のヴァリアブルエアダッシュからさらに性能を向上させたマッハダッシュができるようになる。このダッシュは通常のエアダッシュの2倍以上の移動距離を持ち、尚且つヴァリアブルエアダッシュのように真上に移動することもでき、ダッシュ中は正面に疑似ディフェンスシールドが発生するから敵のダメージを受け流すことが可能じゃ。癖の強い機能じゃがお前ならきっと使いこなせるじゃろう。』
「そうですか・・・・・・ライト博士。」
『ん?』
「ゼロとアイリスの行方は博士もわからないんですか?」
『・・・・・・残念ながらわしにもわからない。』
「そうですか・・・・・。」
『だが、諦めてはいかんぞエックス。あの二人の事じゃ、きっとどこかで生きているとわしは思っているよ。だから、希望は捨ててはいかん。』
「わかってますよ。ゼロの事ですから。きっと俺たちの目の前にまた姿を見せてくれるはずです。」
『うむ、その意気じゃ。』
そう言うとライトはエックスにアーマーのプログラムデータを渡す。
「では、博士。また。」
『お前たちの無事を祈っておるよ。』
エックスは洞穴から抜け出てエリアの奥地へと進んで行った。
22世紀 ロボット病院 集中治療室
「・・・・・・う、うん・・・・・」
病院の一室でアイリスはうっすらと目を開く。
「こ、ここは・・・・・・・・?」
自分の体を見てみると零空間崩壊時のままの姿で下半身がなくなっており、体にはいくつものエネルギーケーブルが接続されていた。
「ゼロは・・・・・・・?」
隣の方を見るとそこには自分よりもひどいダメージを受けて意識を失っているゼロの姿が見えた。自分と同様にいくつものケーブルで接続され、その目は閉じたままだった。
「ゼロ・・・・・・」
「あら、目が覚めた?」
声のした方へ向くとそこには金髪の女性型看護婦ロボットが来ていた。
「こ・・・・・ここは?」
「ロボット病院よ。よかったわ、貴方発見されたとき機能停止寸前だったのよ。緊急処置とはいえよく回復できたものだわ・・・・・・」
「は、はあぁ・・・・・・・」
看護婦ロボットの言葉にアイリスは少し奇妙に感じられた。
自分の知っている限りロボット病院なんていう施設は聞いたことがない。しかもこの施設がイレギュラーハンター又はレプリフォース関連ならゼロは難しいにしろ自分は修理されてもおかしくはない。にもかかわらず修理されていないとなるとこの施設はどちらにも所属していないことになる。
では、この看護婦ロボットは何者なのか?
心配していると看護婦ロボットが気遣うかのように声をかけてきた。
「もしかして修理されていないことにショック受けてる?ごめんなさいね、貴方たち二人の製造会社のデータがないからスキャンしてパーツを一から製造するのに時間がかかっているのよ。」
「そ、そうなんですか?」
「えぇ、ごめんなさいね。」
「・・・・・彼の方は?」
アイリスは眠っているゼロの方を見て言う。
「彼の方は容態に関しては安定してきているわ。尤もパーツ交換とかの修理までは安心できないけど。」
「パーツができるのにどのくらいかかるんですか?」
「心配ないわ、基本的なものなら明日には届くから。精密機械の方は復元光線による治療で完治できるわよ。」
「・・・・・・・・」
彼女の言葉を聞いてアイリスは唖然とする。
「でも、いい時代になったものだわ。私が新米の頃なんかまだ秘密道具の性能が低くて修理も治療も手作業が多かったし、看護婦型も作業できるよう教育されて・・・・・・・・」
「大変だったんですね。」
「そうなのよ・・・・・・あら、いけないもうこんな時間だわ。」
彼女は腕時計を見るなり驚く。
「私、そろそろ終わりの時間なのよ。後は他の人が見回りに来てくれるから困ったときは何でも聞いてみて。」
「は、はい・・・・・えっと・・・・・・」
「あっ、そう言えば名前言っていなかったわね。私はエリカ。貴方は?」
「あ、アイリスです。」
「そう、なら今度見に来るときはそっちの彼氏さんの名前を聞こうかしらね。じゃあね、アイリスさん。」
そう言うとエリカはアイリスに手を振りながら病室から出て行くのであった。
21XX年 アマゾンエリア 遺跡
ライトと別れた後エックスとマーティは、不気味な触手を動かしながら迫ってくるナイトメアを撃破しながら遺跡の目の前に到着した。
「ふう、不気味な奴ばっかり湧いてきたわね。」
マーティは、一呼吸置きながら言う。
「あぁ、でも一番気になるのがこれだ。」
エックスは持っていた一つの青い球体を見る。
これは先ほど襲ってきたナイトメアから出てきたもので持っている分には何も影響がないのだが放置しておくと再生するため、調べるために持って帰ることにしたのだ。
「アイゾックが掲示した情報によればここに調査員の一人 コマンダー・ヤンマークがいるはずだ。」
遺跡を潜り抜けるとそこにはトンボ型の小型メカニロイドを数機従わせたトンボ型レプリロイドがいた。
「アマゾンエリアのナイトメア調査員、コマンダー・ヤンマークだな?」
「そうだ!このアマゾンエリアで調査を行っている!!」
エックスの問いに対し、ヤンマークは正義感の強い目で言い張る。
「教えろ!!ゼロは何を企んでいる?ナイトメア現象も含めて何か知っているはずだ!」
「違う!ゼロは絶対にそんなことはしない!!変な言い掛かりは止せ!」
ゼロを犯人だと決めつけるヤンマークに対してエックスが叫ぶ。
「信用出来ない!!イレギュラーハンターもレプリロイド研究員も・・・・・何を考えているか。裏切られて消されるのがオチだ!!」
「何言ってんのよ、コイツ。」
目をギョロっとして言い張るヤンマークに対してマーティは困惑する。
「裏切られる前に消してやる!!また、騙されて処分されるなんてまっぴらだ!!」
ヤンマークはトンボメカニロイドを従えて二人に向かって光弾を発射して攻撃する。
「やめろ!こんなことをして何になるんだ!」
「騙されないぞ!!お前たちが、ゼロがナイトメア現象を引き起こして仲間のレプリロイドを消しているんだ!!僕のように信用させてバラバラに殺す気なんだ!!」
「だ・か・ら!何言ってんのよ!?いい加減にしないと怒るわよ!!」
マーティはシールドブーメランを投擲してメカニロイドを数機破壊し、ヤンマークに攻撃を加える。シールドの刃は彼の脇腹を掠り、それが彼の何かを刺激する。
「この攻撃・・・・・・・やっぱり僕をバラバラにして処分するつもりなんだ!」
「えっ?」
ヤンマークの言葉にマーティは呆気にとられる。先ほどの攻撃は急所を外していたし、傷もそれほどひどくない。にもかかわらず彼は自分たちが殺しにかかっていると被害妄想しているのだ。
「フォーメーション、ガード!!」
オプションのトンボメカニロイドを複数召喚し、ヤンマークは移動しながら攻撃を続ける。
「くっ!リーフシールド!!」
エックスは、周囲に特殊コーティングされた木の葉型ビットを展開して攻撃を防ぎながらヤンマークの様子を伺う。
「どうしたのよ?早く反撃しないと・・・・・・」
「なんか様子が最初に会った時のマイマインに似ているんだ。」
「えっ?」
エックスに言われてマーティは攻撃してくるヤンマークの顔を見る。その顔は何かに怯えているようにも見えた。
「マイマインも過去、見た目のせいで周りから誤解されて迫害されて他人を信用できなくなったことがある。俺と最初に会った時もその傾向が強くて見境なく攻撃してきた。っということはヤンマークも、過去に似たような経験をして相手を信用できなくなっているんじゃないか?」
「信用・・・・・・・でも、あの過剰さを考えると納得いくわね。」
二人は岩陰に隠れて攻撃を凌ぐ。
「消えろ!消えろ!消えろ!!!」
ヤンマークは攻撃しながら過去の記憶を思い出す。
自分は創造主の傑作のひとつとして生み出され、かつては森林観測チームに所属し多くの成果を上げていた。しかし、ある時コントロールミスで管理をしていた森林を燃やしてしまった。日頃の行いが良かったから罪に問われることはなかったがその時上層部の命令で飛行システムのアップデートを受け、次の調査に備えた。だが、調査中、飛行システムにエラーが生じ、彼は上空から真っ逆さまに墜落。落ちた先が滝つぼだったため、そのまま呑まれて圧死という形で大破した。
「どうせ・・・・・・・どうせ・・・・誰も僕のことをよく思っていないんだ!皆僕のことを妬んで殺そうとしているんだ!!」
ヤンマークはそう言いながら攻撃を強めていく。
「エックス、流石にこれ以上は・・・・・・」
「分かっている。少し手荒になるけど・・・・・援護を頼む!」
エックスはそう言うと岩陰から出てセイバーとバスターを巧みに使って飛んでくる光弾を相殺させる。
「消えろ!」
「悪いけど、まだ俺たちも消えるわけにはいかないんだ。」
後ろからマーティがバスターショットで援護をする。エックスは、フォースのギガクラッシュのシステムを作動させる。新しく組み込まれたギガクラッシュの機能は威力はセカンドと同等ではあるものの発動するのにタイムラグがあり、途中で攻撃を受けると反動で強制中止してしまう。そのため、エックスに向かってくる光弾をマーティがバスターショットを二丁使って当たらないようにしていた。
「当たらない!?なら、フォーメーション・ファ・・・・・・」
「ギガクラッシュ!!」
「ウワァァァァアアアアアア!!」
攻撃手段を変更しようとした瞬間、エックスから放たれた衝撃波でヤンマークは吹き飛ばされる。オプションであるヤンマーオプションは破壊され、自分自身も翼と左腕を吹き飛ばされた。
「うっ!」
地面に打ち付けられヤンマークは近づいてくるエックスたちに怯える。
「ヤンマーク、大丈夫か?」
「ち、近寄るな!?」
ヤンマークは、吹き飛ばされた左腕を押さえながら起き上がって逃げようとする。
「一応手加減したからそこまで酷い怪我はしていないはずだ。このまま俺たちと一緒にハンターベースへ行こう。ドップラー博士とライフセーバーたちが治してくれるは・・・・・・」
「嫌だぁ!!修理すると言って僕をバラバラにする気なんだ!!嫌だ・・・・・嫌だあぁ!!」
「ヤンマーク!」
恐怖のあまりに逃げ出すヤンマークをエックスは後を追う。ヤンマークは飛行能力を封じられながらも一刻も早く恐怖の対象から離れようと懸命に走る。
しかし、その姿を木に上って監視している輩がいた。
『敵前逃亡はいけないジャン?』
「!?」
それは、逃げているヤンマークの目の前に突如現れ、両足をいともたやすく切断した。
「うわああああ!?」
『ヘヘッ、碌に戦いもせずに逃げるなんて調査員失格ジャン。そう言う奴にはお仕置きに限る!ジャン!』
それは口笛を吹くと、背後から巨大なティラノサウルス型のメカニロイドがノシノシとヤンマークの目に前に歩いてきた。
「あ、あぁ・・・・・・・・・・・」
『せっかく生き返らせてもらったのに・・・・・・役立たずは証拠隠滅として死んでもらう!!』
それはメカニロイドの上に乗るとヤンマークを始末するよう命令する。ティラノサウルス型のメカニロイド キング・ガジュラスⅡはヤンマークに目を付けてその巨大な足で踏みつぶそうとする。
「嫌だ!!死にたくない!死にたくない!!」
ヤンマークは、必死に逃げようとするが足が切断されたため逃げることができなかった。ガジュラスの足はヤンマークの真上に降ろされようとする。
「うわあああああああ!!!」
ヤンマークは目の前にまで迫った死の恐怖に耐えられず目を閉じる。
「スーパーアーム!!」
「・・・・・・・・・えっ?」
だが、振り下ろされる寸前にエックスがスーパーアームを作動して足を押さえた。先ほど自分から攻撃した敵に助けられてヤンマークは唖然とする。
「ど、どうして・・・・・・・」
「どうしてじゃないでしょ!?」
そんな彼をマーティは担いで離れていく。
「エックス!」
「食らえ・・・・・・・・・・グラビティーホールド!!」
エックスは、グラビティ―ホールドで一時的にガジュラスを持ち上げて距離を取る。
「波動拳!!」
すかさず構えを取り、波動拳をガジュラスに向けて放つ。
『ゲッ!?これってマジでヤバイジャン!?』
波動拳はガジュラスに命中して大爆発を起こす。エックスはガジュラスから飛び降りた敵をセイバーで斬りかかる。
「うおっ!?」
それは、両腕に装備されているクローで防ぐ。エックスは攻撃を防がれると今度は体を反転させて強烈な連続蹴りを披露する。
「竜巻旋風脚!!」
「グベッ!?」
それは顔を蹴り飛ばされ遺跡の顔面岩に激突する。
「痛・・・・・・ロックマンの弟にしては結構やるジャン。」
「!?」
敵の言葉にエックスは思わず驚く。
「どうして兄さんのことを・・・・・」
「あっ、まずいジャン。少ししゃべり過ぎたジャン。」
そう言うと敵はまるで獣の如くあちこちに飛び移りながら離脱して行った。エックスは敵の不審な動きに違和感を覚えながらもマーティの所へ行く。
「ヤンマーク、大丈夫・・・・・」
「何で・・・・・・・何で助けてくれたんだ・・・・・・・・・」
ヤンマークは体を震えさせながらも二人を見る。
「なんでって・・・・・・・・助けて何が悪いのよ?」
「どうせ殺す気だったのに・・・・・・」
「殺しなんてしないよ。」
「えっ?」
エックスの言葉にヤンマークは目を見開く。
「俺は、君のようなレプリロイドに会ったことがあるんだ。彼は変わった見た目だけで周りから嫌われて君とは形が違うけど、周りを信用できなくなっていたんだ。すぐにイレギュラーだと言われて、何度も捕まって。」
「そ、そんな・・・・・・それって・・・・・」
「俺に会った時も彼は、信用できず君みたいに攻撃してきた。でも、相手を信じる気持ちがなければ今度は自分自身で同じことを招いてしまうことになるんだ。君が俺たちを攻撃してきたように。」
「・・・・・・・・・」
「今すぐ信じてくれとは言わない。でも、信じる気持ちは持ってほしい。それがこれからの君を支える大事なものになるから。」
「・・・・・・う、うぅ・・・・・・うわあああああああ・・・・・・・・」
何か縛り付けられていたものが解けたかのようにヤンマークはその場で泣き始めてしまった。
「ど、どうしたのよ!?」
「僕が・・・・・・ウ、ウ・・・・僕があんなに一方的に攻撃して来たのに・・・・・」
「バカ、誰にだって間違いなんてあるもんなのよ。それが分かったんならまだマシな部類よ。」
「うわああああああ!!ああああああああ!!!」
ヤンマークの泣き叫ぶ声がジャングルの方にまで響き渡る。
それは今まで孤独で誰も信じることができなかった彼が初めて信じることができる人に会えた瞬間でもあった。
22世紀 とある旅行会社
「じゃあ、お疲れ。今日組んだプラン、明日のミーティングで使うからちゃんと頼むよ。」
「はい、わかりました!」
「主任、お疲れさまでした!」
今日もいつもと同じ日常が終わり、彼はコートを羽織って会社の外に出る。外は既に日が沈んで暗くなっていた。
「今日も遅くなってしまったな・・・・・・」
リングマンは、鞄を持ってエアーカーを動かすとパイプラインに乗って移動を始める。
「・・・・・・・・・ここは平和だな。」
感慨深く夜の街を見ながら彼は車を進める。
「・・・・・・・博士とカリンカお嬢様は、私だけ生き残ってしまったことに対してどう思っているんだろうか?兄弟を見殺しにしながらこの世界で生きている私に・・・・・・・・」
彼は何かを引きつりながらも街の郊外に出て一軒の住宅へ車を止める。
「ふう・・・・・・さて、家族の前ではこんな顔をしてはいかんな。」
そう言って玄関を開けると何かが彼に抱き着いてきた。
「うおっ!?」
抱き着いてきたのは彼に似た輪っかの被り物にその下から金髪がはみ出た小さい少女タイプのロボットだった。
「パパ、お帰りなさい!!」
少女の声にリングマンはニッコリと笑い、彼女の頭を撫でながら答える
「あぁ、ただいまリング。良い子にしてたか?」
「うん!」
「あら、お帰りなさいあなた。」
更に家の中から数時間前ロボット病院でアイリスと会った看護婦ロボットのエリカが姿を見せる。
「ただいまエリカ。今、帰ってきたよ。」
リングマンはリングを抱えたまま家の中へと入って行った。
「・・・・・・・まさか、アイツもこの世界に来ていたとはな。」
遠くから黒いフードを被ったロボットが見ているとも知らずに。
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