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曇天に哭く修羅

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第四部
  Dブロック

 
前書き
原作だと全領域戦争の個人戦出場者選抜トーナメント決勝がラストバトルです。
_〆(。。) 

 
【冬季龍帝祭】のCブロックは大番狂わせが起きることも無く、順当に【龍帝学園】で生徒会副会長を勤める《春日桜花》が勝ち残った。

そしてDブロック決勝。

最後のベスト4を決める試合が《立華紫闇/たちばなしあん》と《黒鋼焔/くろがねほむら》によって行われる。


(強くなったね紫闇。黒鋼に弟子入りして、まだ半年も経ってないのに……)


この試合が始まる前、彼の姿を目にしたその時から、紫闇は焔が想定していなかった程の力を持っていることが解った。


(最終試練を受ける前に【真眼】を使えるようになるなんて最高だよ紫闇)


ひょっとしたら黒鋼流の最終奥義【真打】すら会得しているかもしれないのだ。

はっきり言って予定していた戦い方を変えなければ負けるだろうが、生憎と焔は変える気が全く無かった。彼女にとってこの試合は自分が楽しむ為ではなく、弟子である紫闇の成長を確かめる為のもの。

故に焔が勝とうが負けようが、彼女自身には関係ないことであり、紫闇が強くなっていれば後はどうでも良い。

既に基礎能力は今の焔(・・・)と同等以上で真眼も得ていると確信できている紫闇とは戦う必要が無くなってしまっている。


(あたしはこの試合で真眼や【大筒木】の力を使わずに紫闇と戦う。その決着を以て紫闇の黒鋼流における卒業試験とする。彼の目標で居られるか、それとも数多いる凡百の闘技者に落ちるかはあたし次第だね)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


二人の右腕に魔晄外装が顕現。

同じように黒い腕部装甲だ。


「輝け。紫闇」


紫闇が外装を解放すると腕甲が紫色に。


「行くぜ師匠(ほむら)


彼は体を低くして力を溜めると【音隼(おとはや)】を使って背中から魔晄粒子の翼を二枚生やし、踏み込みの力と粒子の噴出による推進力を加え突撃。


(やはり速い……!)


焔は【魔晄(まこう)】を集めた額を突き出し魔晄が凝縮された紫闇の拳を受け止めた。

轟音が観客の外耳道を抜けて鼓膜を揺らし、観客はその交通事故すら生温いと思わされる音に、思わず耳を塞いでしまう。


「ぐぅっ!?」


外装に包まれた右手に異変。

手の骨が折れたようだ。

紫闇が繰り出した打撃に対して頭の最硬部を武器と為しカウンターを取る。

黒鋼流では【撃鉄】と呼ぶ。


(力も速さも申し分なし。でも黒鋼流の拳士としては、『技』があたしに届いてない)


次は焔の番だ。音隼の金翼で加速。ワン、ツーと彼女の拳が紫闇の頭部を打つ。

焔は更に追撃を行う。

紫闇の左へ回って蹴り。吹き飛んだ紫闇の反対へ回り込んで顔面パンチを叩き込むと、また吹き飛んだ紫闇に回り込み一撃。

決まると逃げられない『()(ごろ)し』の連続コンボが如く、為す術の無いまま吹き飛び続ける紫闇を殴打する。

しかし焔は気付いていた。


(防壁が硬いね。直撃してるのにあんまり変化が見られない。ダメージは受けてるけど、それも攻撃の積み重ねによるものだし)


対する紫闇は心地良かった。

あの焔が自分を仕止める為に全力で攻撃を仕掛けてきているのだから。

彼の夢が一つ叶ったのだ。


(俺は今、焔と実戦をしているッ!)


紫闇は焔の連撃から抜け出す。

小細工なしの勝負をする為に真っ向から打ち合って、攻撃・防御・回避・反撃。

基本ステータスでは引けを取らない筈なのに一発も当たらず一度も(かす)らない。


(そうだ。これが黒鋼焔。俺の師匠。無意識の内に諦めて悩んだことすら無い。俺は下で焔が上だと当たり前に思ってた)


しかし今は違う。

制服があちこち破れても、皮膚から血が出てきても、自分の顔が()れ始めても、紫闇が焔に劣等感を感じないのだ。

だがそろそろ崇拝者で居るのも終わり。

賞賛はすれど焔は越えるべき壁だから。
 
 

 
後書き
原作の流れと同じく、この試合でラストバトルにするかもしれません。

紫闇の物語ですし。 
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