戦国異伝供書
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第百二話 家臣にしたい者その一
第百二話 家臣にしたい者
元就は守りに徹した陣を敷きつつ周りの旗本達に言った、皆毛利家の者達の中では文武両道の者達である。
「さて、山中殿とじゃ」
「十人衆ですか」
「あの御仁達の軍勢が来ますな」
「これより」
「殿の御前に」
「旗印は出しておる」
元就のそれはというのだ。
「ならば山中殿の気質から考えるとじゃ」
「来ますな」
「殿の御首を狙って」
「そうしてですな」
「必ず来る、山中殿と義兄弟の絆を交わした十人衆もな」
この者達もというのだ。
「来られる」
「左様ですな」
「山中殿と十人衆は常に行動を共にしています」
「皆尼子家に絶対の忠義を誓っておられます」
「そのことも知られています」
「その十人衆であるが」
元就はさらに言った。
「顔触れがな」
「容赦無手介殿にです」
まずはこの名が挙げられた」
「草葉百手之介殿に」
「破骨障子之介殿ですな」
「阿波鳴戸介殿に」
「井筒女之介殿」
その名がどんどん挙げられていく。
「五月早苗之介殿もおられます」
「尤道理之介殿に」
「藪原茨之介殿と」
「上田稲葉之介入殿ですな」
「早川柳之介殿」
「そして淵川鯰之介殿」
「因幡伯兎之介殿もおられます」
「六方破之介殿ですな」
「十人衆というが」
それでもとだ、元就は十人衆の名が全部出て述べた。
「十人以上おる」
「山中殿を含めて十四人ですか」
「随分多いですな」
「十人衆どころではないですな」
「左様ですな」
「名も変わっておるが」
十人衆の者達はというのだ。
「しかしどの者も強い」
「それが問題ですな」
「一騎当千の猛者ばかりです」
「戦となれば随分強い」
「多少以上の傷もすぐに治って戦の場に戻ってきます」
「まるで不死身です」
「生きる力は随分と強い」
十人衆の者達はというのだ。
「山中殿もな」
「どれだけ深い傷を受けてもすぐに戻って来る」
「このことも厄介ですな」
「これまで幾度も戦ってきましたが」
「あの御仁達は中々死にませぬ」
「全てな、しかしな」
それでもとだ、元就はあらためて話した。
「最早数が違う、しかも尼子家の城もじゃ」
「残るは月山富田城のみ」
「我等が囲もうとしている城ですな」
「その城だけになっていますな」
「兵も五千おるかどうか」
その程度だというのだ。
「最早な」
「そうなってしまいますと」
「もう、ですな」
「後は攻められる」
「勝てますな」
「うむ、しかしな」
それでもというのだ。
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