八条学園騒動記
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第五百七十八話 文化祭前夜その十一
「そうなっているのよ」
「舞台はいつも草原か」
「そこなのよ」
「民族によって心の原風景は違うな」
「それでモンゴル人のそれは草原ってことよ」
「成程な、それを言うと俺達韓国人は」
洪童は自分のそれも話した。
「何だろうな」
「思いつかないの」
「韓流ドラマの建物か」
「それ?」
「そして韓服着た美形や美人さんがいてな」
そうしてというのだ。
「愛を誓い合ったり悪に立ち向かうことを決意する、か」
「それ韓流時代劇よね」
「それか冬の並木道か」
「今度は韓流現代劇ね」
「ドラマばかりだな」
洪童は自分から言った。
「何か」
「そうね」
「韓国はドラマが人気だからな」
「もう韓国文化っていえば」
「起源の主張は置いておいてな」
この時代でも韓国が普通に言っていることだ、連合の国特に日本で何かいい文化的なものが出るとそれが韓国起源だというのだ。
「韓国文化はな」
「ドラマが有名よね」
「料理の他にはな」
「そうよね」
「そのせいか」
「あんたの心の原風景っていうと」
「ドラマのシーンか」
「それになるのね」
「そうかもな、まあとにかくな」
洪童はピーナッツを齧りつつ述べた。
「俺が思う原風景はな」
「昔の韓国の建物に」
「冬の並木道だな」
「そうしたところね」
「ああ、何か並木道がな」
この場所がというのだ。
「思い浮かぶな」
「韓国ドラマも特撮も並木道よく出るからね」
マルコも言ってきた。
「アニメでも」
「そのせいか」
「だからじゃないかな」
「農村とか田畑とか高層ビルとかはな」
「思い浮かばないんだ」
「あと山とか川とか海もな」
自然の場面もというのだ。
「俺ふと思い浮かばないな」
「それってあれじゃない?」
マルコは洪童のそのワを聞いてこう返した。
「洪童が都会暮らしで」
「そうしたところにあまりいなかったからか」
「多分並木道も」
彼の心の原風景だというそれもだ。
「ドラマとかだけじゃなくね」
「実際によく見てきたからか」
「子供の頃住んでいた街になかった?」
「俺ソウル星系出身でな」
韓国の首都星系である。
「ソウル星系の第一惑星で物凄い人が多かったな」
「まさに都会だね」
「そこにいて家のすぐ近くに並木道もな」
まさにそれもというのだ。
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