レーヴァティン
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第百六十九話 異形の武家その二
「信濃の北には早速城を築きたい場所がある」
「ああ、海津っちゃな」
すぐにだ、愛実が言ってきた。
「あの場所にっちゃな」
「そうだ、あの地に城を築き」
そしてというのだ。
「越後からの備えにし」
「そのうえでっちゃな」
「北陸を攻める時にな」
その時にというのだ。
「拠点にしたい」
「その為にっちゃな」
「信濃の全土を手に入れたらな」
その時はというのだ。
「早速だ」
「あの地面に城を築くっちゃな」
「そうする」
まさにというのだ。
「ではいいな」
「信濃の北もっちゃな」
「手中に収める」
そうするというのだ。
「今はな」
「わかったっちゃよ」
「ただ、あの地に城を築くとな」
その海津にというのだ。
「越後の方もな」
「意識するっちゃな」
「それで先に仕掛けるかも知れない」
「やられる前にっちゃな」
「そう考えてな」
そしてというのだ。
「そうするかも知れない、だが」
「その時はっちゃな」
「撃退してだ」
「城を築くっちゃな」
「そうする、そしてだ」
「海津城を完成させるっちゃな」
「そして守り抜き」
そのうえでというのだ。
「信濃の守りにしてな」
「北陸攻めの時はっちゃな」
「足掛かりにする」
こう言うのだった。
「その時はな」
「そうっちゃな」
「今は攻めないが」
それでもというのだ。
「やがて攻める」
「その時の拠点っちゃな」
「要するにな、だから築く」
「よくわかったっちゃ」
愛実は英雄の言葉をここまで聞いて微笑んで応えた、そうしてだった。
英雄は大軍を信濃の北に入れた、それまでの間に降る国人が殆どで残った僅かな国人達も使者が送ればだった。
それで降った、信濃の北もこうして幕府の領地になったが。
英雄はすぐに海津城の築城を命じた、そしてその縄張りはだった。
「信濃の国人達に任せる」
「彼等にですか」
「そしてあの者達にな」
謙二に話した。
「守りもだ」
「任せますか」
「そうする、特にだ」
英雄はさらに言った。
「上田の野田氏にだ」
「あの忍の者達でもあるですね」
「あの家にだ」
「任せますか」
「あの家に海津城の縄張りとだ」
それにというのだ。
「守りをだ」
「任せますか」
「あの家にあの領地を与えてな」
海津の方をというのだ。
「そしてだ」
「そういえば海津の国人は」
「小さいな、だから野田氏の傘下に入れてな」
「海津自体を野田家の領土にしてだ」
「守らせますか」
「そうする」
こう言うのだった。
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