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何と言っているのか

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第一章

               何と言っているのか
 古賀大輝は大学生だ、大学に通いつつボランティア活動にも頑張っていて今は猫の里親募集に関わっているが。
 そのことを知った同じ学部で学科の近藤栞奈にこう聞かれた。
「古賀君ボランティアしてるわね」
「うん」 
 大輝はすぐに答えた、見れば。
 大輝は背は一六九位で黒い髪の毛があちこちはねた面長の顔である、はっきりした目の光は明るい。栞奈は茶色のロングヘアに楚々とした感じの娘で背は一五八位だ。二人共露出は少なくかつ若々しいファッションである。
 その大輝がだ、栞奈に笑顔で答えた。
「猫の里親を探すね」
「そうね。じゃあね」
「じゃあ?」
「猫ちゃんの言葉がわかればね」
 栞奈は大輝にこんなことを言った。
「余計にいいわね」
「まあそれはね」 
 大輝は栞奈の言葉を聞いて答えた。
「やっぱりね」
「それに越したことはないわね」
「猫と接しているから」
 だからだというのだ。
「やっぱりね」
「じゃあね、いいものあげるわ」
「いいもの?」
「これね」
 こう言ってネックレスを差し出してきた、黒猫の小さなブローチが先にある銀色のチェーンのネックレスだった。
 栞奈はそのネックレスを差し出して大輝に話した。
「実は私の母方のお祖母ちゃん魔法使いなの」
「そうだったんだ」
「それで私も弟子でね」
 それでというのだ。
「こうしたものも造って持ってたりするの」
「そうだったんだ」
「これを首にかけたら猫の言葉がわかって」
「魔法で」
「それで猫ともお話出来るの」
「そうなんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「これがあったらね」
「ボランティアの時助かるね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「使ってみてね」
「首にかけてだね」
「そうしてね」
「うん、それじゃあ」
 大輝は栞奈の言葉に頷いた、そうしてだった。
 実際にそのネックレスを首にかけてそのうえでボランティアに出た、すると里親を募集している猫達がだ。
 それぞれ言っているのが聞こえていた、彼等はというと。
「早くご飯くれよ」
「お水もな」
「飼い主見付かるのかよ」
「早く誰か来て欲しいな」
「折角拾われたんだからな」
 それならというのだ。
「早く飼い主見付けて欲しいな」
「ここも悪くないけれどな」
「ご飯ちゃんと食えて水も飲める」
「雨もかからないしな」
「けれど飼い主が見付かって」
 それでというのだ。
「ずっとそこに暮らせるならな」
「それが一番いいからな」
「誰が来てくれないかな」
「俺達は誰が飼ってくれるか何となくわかるしな」
「第六感でな」
「けれど人間って鈍いからな」
「わからないんだよな」
 猫がわかることがというのだ。 
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