八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百八十三話 テストも終わってその二
「ハンモックですが」
「ああ、あれですね」
「昔の海軍の軍艦ではです」
「あれで寝ていましたね」
「あれを吊って」
艦内においてだ。
「そうして寝ていました」
「そうでしたね」
「ですが今はです」
海上自衛隊の護衛艦ではというのだ。
「もうです」
「それもですね」
「使っていません、ベッドで寝ています」
「そうなっていますね」
「はい、誰もが」
「誰もハンモックで寝ていないですか」
「そうなっています」
今ではというのだ。
「最早、その他にもです」
「違っていますね」
「食事もです」
「昔は士官は洋食で」
「下士官や兵士の人はご飯でしたね」
「そうでしたね」
「士官は士官室で食べますが」
このことは海軍から同じである。
「ですが食べるものはです」
「皆同じですね」
「そうなっています」
「そこも違いますね」
「はい、それだけ違っています」
「海軍と海上自衛隊は」
「時代が違っていて」
「それでその人もですか」
海軍経理学校を出たその人もだ。
「そのことをですか」
「感慨を込めて言っておられました」
「そうだったんですね」
「もう海軍経理学校も遠い時代ですが」
「そうですよね」
「今もその人のことを覚えています」
小野さんの言葉は懐かしむものだった。
「忘れられません」
「そうでしたか」
「はい、ですが」
「ですがっていいますと」
「その人はかなり優秀な人でした」
「そんな学校行く位ですからね」
東大に入るより難しい学校にだ。
「やっぱり」
「恐ろしく博識で頭も切れる」
「そんな人だったんですね」
「ですがそうした人でもです」
優秀な人でもというのだ。
「経理学校では普通、いえそれ以下で」
「追試もですか」
「いつもだったとのことです」
「そうだったんですね」
「先程お話した通り」
「優秀な人でもですか」
「確かにその人は優秀でしたが」
それでもというのだ。
「優秀な人が集まる学校だったので」
「その中にいたら」
「そうした風でした」
「そうだったんですね」
「追試が常という位に」
「何か」
僕はその話を聞いて小野さんにこの人の名前を出して話した。
「斎藤茂吉みたいですね」
「詩人のですね」
「あの人お医者さんでしたね」
「本職は」
「そうでしたけれど」
斎藤茂太そして北杜夫の父でもある、北杜夫の作品にお兄さんの子供さんが出て来ることがあるけれど兄弟の年齢は結構離れていて北杜夫はその子供さんと結構年齢が近くて仲がよかったと聞いたことがある。
ページ上へ戻る