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糞婆の末路

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第一章

                糞婆の末路
 中野あかりは高校生だ、茶色の長い髪の毛をポニーテールにしていて明るい顔立ちをしている。そのあかりがある日家に帰ると。
「ワン」
「えっ!?」
 家の玄関の中に白い大きなもふもふとした毛の犬がいた、首輪は赤く優しい顔立ちをしている。その犬を見てだった。
 あかりはすぐに母のひかり自分そっくりの彼女に尋ねた。
「おかあさん、あのワンちゃん何?」
「実は拾ったのよ」
「拾ったって」
「公園でつながれたまま置いてけぼりにされてたの」
 そうだったというのだ。
「これがね」
「置いてけぼりだったの」
「そう」
 これがというのだ。
「それでそのままにしておけないからね」
「うちに連れて帰ったの」
「ええ、どなたかがおトイレに行ってそのままだったのかしら」
 母は娘に考える顔で言った。
「若しかして」
「よくあるわね」
「とりあえず飼い主を探さないとね」
「あの子首輪してたから」
 あかりはその赤い首輪の話をした。
「だからね」
「飼い主の人いたのよね」
「リードは木につながれてね」
 それでというのだ。
「ほったらかしにされてたの」
「そうだったのね」
「とりあえずうちで保護したけれど」
「飼い主探さないとね」
「そうよね」
 母と娘でそうした話をしてだった、警察官の父が家から帰るとその犬を見せた。すると父はこう言った。
「あの子マロンだろ」
「マロン?」
「三丁目の佐藤さんの家の犬だよ」
 警察官らしく真面目な顔の父は言った。
「お父さん佐藤さんのご主人とはいつも交番で話をしてたからな」
「それで知ってるの」
「ああ、散歩にいつも連れて行っていた」
 そのマロンをというのだ。
「そうしていたからな」
「あの子も見たの」
「毎日みたいにな」
「そうだったのね」
「ただ佐藤さんのご主人もうお歳でな」 
 それでというのだ。
「この前脳梗塞でな」
「脳梗塞って」
「それで倒れてな」
「大丈夫なの?」
「命に別状はないらしいけれどな」
 それでもというのだ。
「今入院しているらしい」
「そうだったの」
「しかしな」
 父はさらに言った。
「飼い主が見付かったからな」
「ええ、じゃあね」
「すぐにあの子返しに行こうな」
「それがいいわね」 
 こうしてだった、一家の方針は決まった。そして次のその犬マロンを連れて佐藤さんの家に行くと。
 如何にも意地悪そうな顔立ちで髪の毛がかなり白くなっている老婆が出て来て一家に対して言った。
「その犬いらないから」
「えっ、いらないって」
「知り合いが入院して引き取り手がいないからお祖父さんが引き取ったけれど」
 マロンを睨みながら話した。
「もうお祖父さんも入院したし」
「だからですか」
「もうこんな犬邪魔だからね」
 それでというのだ。
「あそこに置いたら誰か引き取るって思って置いたんだよ」
「そんな、酷い」
 あかりは老婆の冷たい言葉に思わず怒った。
「あんまりじゃないですか」
「いらなくなったから当然だよ」
「当然じゃないですよ、命を何だと思ってるんですか」
「あたし以外のものがどうなっても知らないよ」
「それが人間の言うことですか」
 あかりがさらに怒った時だった。 
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