オズのケーキ
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第十幕その六
「特にね」
「残念に思っていないですか」
「これといってね」
「そうなんですね」
「機会があれば」
その時にというのです。
「エルミタージュも他の場所も」
「行きたいですね」
「そう考えているわ」
「じゃあその時はオズの国の神々が導いてくれるなら」
「一緒になのね」
「旅を楽しみましょう」
「それじゃあね」
こうしたお話をしてでした、皆でエルミタージュのケーキを作りました。そしてそのケーキを見てです。
リンキティンク王は美味しそうでしかもとても奇麗なケーキだと歌を作って踊りました。その歌を聴いてです。
王子もです、王様ににこりと笑って言いました。
「では明日ですね」
「うむ、このケーキをな」
「女王にお見せして」
「目で見て楽しんでもらって」
そしてというのです。
「食べてもらって」
「味もな」
「楽しんでもらいましょう」
「ではな、しかしな」
ここで、です。リンキティンク王は。
そのケーキを見ながらこうも言いました。
「このケーキを今日まで見られないとはな」
「そのことがですか」
「女王は気の毒じゃな」
「いえ、それはです」
王子はリキティンク王の言葉に笑顔のまま答えました。
「当然と言えばです」
「当然なのか」
「何しろ女王は主役です」
明日のご本人の誕生パーティーのです。
「それではです」
「このケーキを見ることもか」
「明日までお預けということも」
このこともというのです。
「当然のことです」
「明日見てのお楽しみか」
「そうです、ですから」
「当然のことと言ったのじゃな」
「そういうことです」
「そうか、そういえばな」
リンキティンク王は王子のお話を聞いて言いました。
「わしも誕生日の時はな」
「何があるか、何が出て来るか内緒ですね」
「そしてパーティーの時にな」
お誕生日当日のです。
「出してもらっておるわ」
「そうです、パーティーの主役はです」
「何があるか、何が出て来るかをじゃな」
「待っていればいいんです」
「楽しみにしていてか」
「そういうことです」
「そうか、では女王も」
リンキティンク王はあらためて言いました。
「今は楽しみに待っていてもらうか」
「そうしてもらいましょう」
「わかった、しかしな」
「しかし?」
「わしはこのケーキを見てな」
エルミタージュの形に作ったそのケーキをというのです。
「ケーキを食いたくなった」
「このケーキは駄目ですよ」
ケーキはそれはないと思いながら冗談でこう言いました。
「そのことはおわかりですね」
「うむ、そのことはな」
リンキティンク王にしてもでした。
「わかっておる」
「そうですね」
「他のケーキじゃ」
今食べたいケーキはというのです。
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